アリアス氏も絶賛した米国人阪神ファンの本とは 助っ人の成功には「文化に適応」が大切

 そろそろ来季の阪神に加入する新外国人選手の正式発表はあるのでしょうか。助っ人がハマれば〝アレ〟の可能性が大になる。でも日本野球に適応できなかったら…と心配するファンは少なくない。そう思う方にピッタリの本を紹介したいと思います。

 その本は「アメリカの野球オタクが見つけた楽園」。筆者と同じ“外国人の阪神ファン”が書いた本です。著者のジェームス・マックナイト氏は2001年に来日。群馬県に住みながら、甲子園球場を第二の故郷にした虎党です。彼が阪神ファンになった理由は、初観戦時の「出会い」にありました。

 初めての甲子園。試合前の打撃練習を見ているところ、英語堪能で熱狂的な日本人ファンにアプローチされ、一緒に観戦する事になりました。そのファン(本の中で「オマリー」とあだ名が付けられている)は、後に同氏の結婚式で介添人を務めるほどの大親友になりました。当時は来日直後で、未知の文化に適応できずに葛藤を感じていたところ。初めて日本人に受け入れられたことで、その日から甲子園の虜になったそうです。

 群馬県と甲子園を往復する生活を続けていたマックナイト氏でしたが、2013年に帰国をせざるを得ない状況になりました。そのことをオマリーに告げると、こんな言葉が帰ってきたのです。

 「一緒に甲子園で応援したのだから俺たちは一生仲間だよ。君は一生阪神ファンだ。だからアメリカに帰ってからもメジャーの球場に行く時は必ず阪神のユニホームで行くことを約束してくれ」

 帰国後のマックナイト氏はその約束を守るだけでなく、いろんな人に阪神タイガースや甲子園球場のことを伝え続けました。すると、その経験に感銘を受けた多くのアメリカ人に「この話を本にすればいいよ」と勧められたそうです。そうして制作された本が「アメリカの野球オタクが見つけた楽園」。日本人から見たら当然のことが多く書かれているけれど、筆者から見ると、外国人が肌で感じる“日本の不思議なところ”が数多く紹介されています。

 マックナイト氏と同郷の元阪神助っ人もこの本を絶賛しています。“メシア From USA”ことジョージ・アリアス氏(現読売ジャイアンツ国際スカウト)です。自身経営のベースボールアカデミーで阪神ユニホームを纏っているマックナイト氏と対面。連絡先を交換した数日後、もう一度訪れたマックナイト氏から本を受け取ったそうです。アリアス氏はこう語っています。

 「言葉や文化の壁を乗り越えて日本で12年間も生活したジェームスはすごいと思う。僕も外国人として日本を経験し、共感できる部分が多かった。文化に適応するのが成功を左右すると思う」

 やっぱり異国にアジャストするのは容易なことではない。カナダ人の僕はそれをよく理解しているし、初来日の24年前を振り返ってみると、大変だったなぁと新鮮に覚えています。だから今後入団する外国人選手には、この本が「日本野球に適応する」ためのヒントとなるはず。逆に阪神ファンの皆さんが読んでも、助っ人の心境をよりよく理解でき、そして応援に一層の熱が入ると思いますよ。

 ◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。1998年に初来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から在住。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」で阪神情報を配信中。

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