なぜ、セ・リーグはDH制を採用しないの カナダ出身の熱烈阪神ファンが抱いた素朴な疑問
多くの野球ファンには好評の交流戦18試合。ところが阪神ファンにはキツイ3週間になることが多い。筆者がファンになってからの10年で6回の負け越し。その6回すべてで10位以下に沈んだ。そして今年も例外なく苦しかった。大きな要因は打線の絶不調。こうなると「常にDH制があればなぁ」なんて思ってしまう。
以前にも当コラムで触れたけど、世界のプロ野球で指名打者制度を導入してないのはNPBのセ・リーグのみ。敢えて投手を打席に立たせる理由って何なのだろう?筆者がファン目線から3つの理由を考えてみた。
①DH制だとベンチワークの種類、回数が減る?
投手交代が絡む代打の選択など、醍醐味とも言える場面がなくなってしまう。野球とは身体能力だけではなく頭も使って勝つスポーツだ。
②投手安打によるダメージの大きさ?
守備側とすれば「アウトで当たり前」の投手に出塁を許すと「流れ」が大きく変わる。応援していても贔屓の投手が打つと確かに盛り上がる。
③昔のルールはイジらない方がいい?
そもそも野球は10人ではなく9人でやるスポーツ。投手は「投げて」「守って」そして「打つ」。そう考えるファンも多いことでしょう。
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ただ筆者は、個人的に③の理由には賛成できません。投手の役割分担がハッキリしている現代野球で、先発完投は非常に困難。そんな状況で先発投手たちは、球種や投球の引き出しを増やして少しでも長いイニングを投げようしています。にも関わらず、打順の巡りでマウンドを降りるなんて〝もったいない〟と思うんです。
ちなみに今年の交流戦でセ球団のDHが残した数字は…。筆者の調べによると、好成績はDeNAだけ。ビジター9試合で38打数11安打の打率・289、5本塁打。他の5球団は計45試合で打率・195の3本塁打。お世辞でも「DHが機能した」とは言えません。なお、パ6球団のDHは同期間に打率・240。打点に注目するとセの20を大きく上回る33を記録しています。
この結果を見ると「セでもDH制度導入を」という機運は上がりそうにありません。DH制度導入に大賛成の筆者はガッカリしてますが、皆さんはいかがでしょうか。
◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。1998年に初来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から在住。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」で阪神情報を配信中。