経営者と新聞記者
【12月15日】
その名を知らぬ者はいないメジャー企業のトップから食事の誘いを受け、昨日行ってきた。大阪の高級ホテルで待ち合わせ、エレベーターで上階へ。案内されたのは10数名用の豪華な個室だった。
これもお店のコロナ対策か…洋間の長いテーブルに2人、はす向かいに椅子が用意されていた。マスク姿の女将(おかみ)から上座へ招かれ、「何か苦手な食材、アレルギーはございますか」。会食のお相手が「僕は…」と切り出すと、女将は「○○さまのものは存じておりますよ」と笑顔…。
20以上歳の離れた、世間に名の知れた経営者と新聞記者…。俯瞰してみると、おもしろかったり。
その方とのお付き合いは5年ほどになる。これまで何度かお食事をご一緒したが、僕のような40代の若造相手でもいつも腰が低く丁寧で、柔和に、しかも「風さん」と敬称で呼んでくださる。老舗ブランドのトップに立つ人を何人か知るが、決まってそうだ。
いっぽう、安物のリーダーほどエラそうな物言いをするもので、エラそうな者が出世する企業はその器が知れる。余談だけれど。
「今の時期、書くことないでしょう。大変じゃないですか?」
食後のデザートを口にしながらその方は気遣ってくださった。
そうですねと頷(うなず)きながら、きょうのことは書かせていただきます、と内心つぶやき…。
経営者といえば、プロ野球のその立場の方たちと接する機会が多いのだが、近年、エラそうな人を見ない。球団社長、本部長…各球団、こちらが恐縮するくらい丁寧に対応してくださる。残念ながら東の球団とはあまりお付き合いがないのだけど、他球団の担当記者からもそんな噂は聞かない。
もしや、メディア向け?外面が良い?なんて意地悪な見方をしたりもするのだけど、果たして…。
Twitter(ツイッター)を始めて5カ月ほどになる。プロ野球ファンの方からよくリクエストされるのは、ファンは球団の経営側と接する機会がないので「経営者の顔が見えない。どんな人か書いてほしい」というもの。
確かにそうか。例えば、おととい(14日午前)行われたセ・リーグ理事会。ナマ配信されるわけでもなく、阪神や巨人の理事、代表者のインタビューが動画で流れるわけでもない。ファンは会の内容を活字で知るだけだから声色も分からないわけだが、実は見たいファンは多いのかも。「内部配信」全盛時代ならでは、だろうか。
その理事会に巨人・山口寿一オーナー名でDH制暫定導入の提案書が提出されたことが話題になった。取材の限り、他5球団は反対(一部報道で中日は賛成とあるが…)の立場をとった。来季導入は見送られたわけだが、不採用になった提案書を巨人がその後(夕方5時半に)マスコミにメール配信したことは驚いた。それだけファンに訴えたかった案件ということだが、これも異例。是非はともかく、このやり取りは興味深いし、ファンは経営者の考えを知りたい…。続きは次回。=敬称略=