拡声器で右翼席へ?

 【12月16日】

 サッカー担当時代、ファンの有りようがプロ野球と違ってカルチャーショックを受けた。例えば負けが相当込めば、試合後サポーターが席を立たない。それも10人や20人じゃない。大半居座るのだ。

 プロ野球同様、スタジアム側はそんなお客さん対応で閉門のアナウンスを丁寧にする。僕の担当したビッグクラブではサポーターがそれでもスタンドに居残り、最終的にはクラブの社長がフィールドへ。背広姿でサポーター席と対面し、拡声器で話し合う。もちろん罵声も浴びながら。

 例えば甲子園で阪神の球団社長が試合後ライトスタンドへ足を運び、外野のフィールドからファンの要望、抗議に耳を傾ける光景は見たことがない。東京ドームでもマツダスタジアムでも見ない。

 それがあるべき姿かどうかの議論は別にして、プロ野球では経営陣がファンと直に対話する機会はまずない。きのうも書いたけれど僕自身Twitterをやるようになって、球団の、経営陣の、考え、理念を知りたいファンが想像以上に多いことが分かった。

 タイガース谷本修は今般の〈補強成功〉で、今やSNSで「神」と崇められもする球団副社長兼本部長だけど、フォロワーさんから「どんな人ですか?」とよく聞かれる。考えてみると〈動く谷本〉〈語る谷本〉を見たことがあるというファンは稀だ。

 かといって、じゃ、明日から阪神のフロントがオンラインでファンに「補強の進捗」「DH制導入の考え方」を報告することはないわけで…。いつかプロ野球でも経営者とファンが直に対話する時代がくるのだろうか。

 さて、きのう触れたセのDH制について巨人が来季暫定導入を提案した件は、個人的にもその議論に興味が尽きない。興行だからファンの声は無視できないわけで、しかし、ナマ対話すれば収拾がつかなくなる(?)案件でもある。

 (1)コロナ禍における投手の負担軽減(2)野手に出場機会を与えて鍛える(3)試合展開次第で投手がバットを振らない問題…どれもなるほど、巨人の提言に頷くファンは多い。オーナー名で一石を投じた読売球団に対し、他球団の反応は具体的に報じられていない。

 他5球団の指摘を取材すれば、「伝統」を語る声が少なくない。

 「最近のドラフトを見るとセもパに負けない選手が入るようになり、今後強くなる予感がある。むしろ、伝統を活かした中でパ・リーグに勝つほうがロマンがある」

 例えば、そんな主張だ。

 Twitterでフォロワーさんに「意見をください」と募れば今のところ「賛成」「反対」がほぼ半々に割れた。

 「国際大会がDH制。DH制の野球に慣れるべき」「好投している投手を終盤1点取るために代打はもったいない」「野手の育成にもなるし、完投できる投手の育成にも繋がる」「両リーグとも同じ条件で競技するべき。競技平等の原則に戻ることに気付くべき」

 これらが「賛」の声。いっぽう「否」の見解は…。=敬称略=

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