パに勝つ為だけに?

 【1月18日】

 Twitterを始めて半年ほどになる。読者からの反応もよく分かるし、開設の価値は大いに感じるけれど、たまに会社宛てに手紙をいただくと、半分アナログなオッサン記者はほっこりする。

 その一つは、阪神ファン歴42年デイリースポーツ購読歴40年という千葉在住Oさんからいただいたもの。当欄で「続きは次回」と書いておきながら、すっかり先送りにしていた「DH制」について、「拙速な導入には反対」の立場だという。そのデメリットについて便箋3枚に数項目を挙げ、最後に〈そもそも論〉が綴られていた。

 セ・リーグがプロ野球に存在する意義は、パ・リーグに勝つ為だけなのか-。

 日本シリーズでは8年連続でパに屈し、交流戦では過去15年で優勝は3度しかない。そんなセントラル・リーグでも、ファンが楽しめる野球の醍醐味がそこにあればいいじゃないか。パに勝てないからDH導入を-は、安易な発想ではないか??そう仰る。

 巨人が21年シーズンのDH制暫定導入を提唱した最大の理由は、コロナ禍における投手の負担軽減である。吉田の意見は?と求められれば、提言の本質がそこにあるなら「賛成」と答える。けれど、もし思惑がほかにあるならば、議論は尽くされるべきで、性急な結論は現行制度を愛する決して少なくないプロ野球ファンを置き去りにすることになると考える。

 巨人軍の山口寿一オーナーは、他球団の賛同を得られていないが「取り合ってもらえないだろうから諦めるというのは、正しいとは思えない」と、昨年末の取材で答えた。昨秋は阪神を含めセ5球団が確かに首を縦に振らなかったわけだけど、取材の限り、山口オーナーの言葉通りで、巨人は今季の暫定導入をまだ諦めていない。近々あらためてアクションを起こし世論に訴えるはずだし、今月20日の12球団監督会議でも再提唱するかもしれない。意義深いと思う。

 ちなみに、よくDH制のメリットとされる投手の成長について、前述の読者は、仮に規定投球回をその指標とするならば近年セはパに劣るのか-と記していたので、過去5年の規定到達者の数を本紙記録部に確かめてみた。

 20年=セ6人、パ8人

 19年=セ9人、パ6人

 18年=セ8人、パ9人

 17年=セ12人、パ13人

 16年=セ12人、パ14人

 ファンは十人十色の角度で、巨人の提唱をきっかけにプロ野球を楽しむべく考察している。

 「一度、導入を決めてしまったらまた元に戻すことは難しい。来年は現行制度でやるわけやから、まだまだ議論の余地はあるし、さまざまな意見があってええ」

 これは本紙評論家・岡田彰布の見解である。05年のV監督は「メリット、デメリットがある」としながら、こう核心をつく。

 「DH仕様のチーム編成をするには、最低でも3年は見とかんとあかんよ」

 DHを論じる岡田-原対談を聞いてみたい気はする。=敬称略=

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