JO1にあやかる?

 【1月26日】

 きのう金本知憲と会った。プライベートだから仕事(取材)の話は無しだけど、ふと思い出したので聞いてみた。あれは2005年の秋。日本シリーズ真っ只中に、金本は突如あるものを変えた-。

 05年といえば、金本が40本塁打を放ち、セ・リーグMVPに輝いたシーズン。しかし、虎党の期待を一身に背負った日本シリーズではロッテバッテリーの徹底マークにあい、4番は沈黙した。

 「曲を変えたい」-。

 敵地千葉で初戦、2戦目を大差で落とし、帰ってきた甲子園。金本は第3戦のプレーボール2時間前に、打席へ向かう登場曲の変更を申し出たのだ。それまで2試合ノーヒット。何とかしたい…そんな思いで、前年(04年)まで採用していた「Sandstorm」に戻し、打開をはかったわけだ。

 「いや…。3戦目に変えたかどうか、覚えてないな」

 16年前の記憶を掘り起こしてもらったけれど、やはりずっと悔しさが勝ってきたからか、金本本人のメモリーからはもう薄れていた。

 自身が大好きな映画『007』の主題歌(マドンナの「Die Another Day」)を採用し、リーグ優勝とMVPを勝ち取った05年だったけれど、短期決戦で流れが悪いとなると、スパッと変えた。「勝負曲」とはそれくらい大切なもの…かもしれない。

 阪神の場合、登場曲はキャンプ中に決めるのが常だ。キャンプ地の食堂にペーパーが貼り出され、選手各々が希望曲を書き込む。開幕直前に変更を申し出る選手もいるし、こだわりがあれば、ネクストサークルから打席へ向かうルーティンをイメージし、「曲の何秒目から流してほしい」とリクエストするのもありだと聞く。

 金本は06年のテーマ曲を決める際、当時の公式サイトで「迷い」を明かしていた。前年はマドンナの旋律でこれ以上ない結果を残したものの、日本シリーズは不本意だった。「そのままにしようか、変えようか」-。結局「Sandstorm」を再採用したわけだけど、験の担ぎ方もまた難しい。

 そんな視点で僕がひそかに注目しているのは、昨年結果を残したタイトルホルダーが、今年のテーマ曲をどうするか…ということ。

 阪神なら近本光司とロベルト・スアレスはどうか。あいみょんとサカナクションの2楽曲で2冠を成した大野雄大は験を担ぐのか。福山雅治とファボラスで最高出塁率を獲った村上宗隆は本塁打王を狙って一新するか。LiSAと乃木坂46で首位打者に輝いた佐野恵太は??そんな楽しみ方である。

 一方で気になるのは、打者2冠に輝いた岡本和真の選択である。彼は昨年のテーマ曲に、サザンともうひとつ、ルーキーグループの楽曲を選んだ。昨年デビューしたJO1である。オッサン世代にはまだ馴染みは薄いが、Gの4番はその「勝負曲」で初の本塁打王と打点王に輝いたのだから、こんなアゲメンはいない。再び相棒にされると脅威だけど、実は僕もハマっているJO1…ですから、虎の皆さんも、ぜひ。=敬称略=

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