矢野燿大の色紙

 【2月22日】

 今更ながらお伝えしておくと、今キャンプは新聞記者にとって制約が多い。入場規制があったり、クール毎にPCR検査を義務づけられたり、外食を控えたり…。ひと言でいえばストレスである。

 この日、スカイAのゲスト解説緒方孝市が「キャンプ期間中というのは(新聞記者と選手の)信頼関係ができる凄く大事な時間」と話していたが、まさしくその通りで、2月にこの時間を作れないのは、当欄の性質上とても痛い…。

 だからといって誰も責められないし、辛抱しかないのだけど、慣れたやろ?と聞かれると、そうとも言えるような言えないような。

 宜野座に晴れやかな面持ちのタイガースファン…その存在の見えない光景は、キャンプ終盤に差し掛かっても、やはり寂しい。

 「2月の『ノー沖縄』は初めてだけど、生きてますよ~。キャンプに行けないファンのために、頑張ってキャンプを伝えて下さい」

 阪急交通社・大阪団体支店長の松岡佳代に連絡してみると、そんな返事があった。

 松岡といえば、もう阪神ファンにはお馴染み。毎年同社のキャンプツアーを企画し、03年の沖縄初キャンプから20年近く、ファンに「夢ガイド」を届けてきた。03、05年の優勝旅行を企画して以来、矢野燿大ら当時のV戦士とも親交が厚い松岡だから、恒例の「生き甲斐」を奪ったウイルスをさぞ恨んでいるのでは??そう思いながら探りを入れてみたのだけど、思わぬリアクションが返ってきた。

 「無観客キャンプが決まって、しばらくは落ち込んでいましたけど、先月、矢野監督にお越しいただいた(同社主催の)トークショーで、監督から『コロナ禍だからこそできることした?』と聞かれて目が覚めました。今はめちゃ頑張っていますよ」

 キャンプ前の1月中旬、矢野は松岡から依頼されたサイン色紙にこんな言葉を寄せたという。

 行動してこそ夢

 行動しないのは幻

 そんな矢野からの激励に、松岡はもちろん、彼女の部下の皆さんも「気合が入った」そうだ。

 「自分はレギュラーになるのが遅かった。プロに入ってなかなかうまくいかなかった。でも、振り返ってみたら、そこにチャンスがあった。いい事ばかりじゃなく、いろんな事が起こりうる。でも、その時がチャンスなんです」

 これは西純矢らが加入した一昨年の新入団会見で矢野が発したコメントである。

 90年ドラフトで中日に入団した矢野は外野へコンバートされた時期もあり、レギュラーを獲ったのは、トレードで阪神へ移籍した8年目以降。大卒だからもう後がない。振り返れば、そんなピンチにこそチャンスは訪れたという。

 今キャンプ、結果が出ない選手も故障してしまった選手もいる。今はピンチとしか思えないはずだけど、そんな時だからこそできるいつか夢につながる行動を…。筆者も自分に言い聞かせてみる。

 松岡の「夢」は3度目のV旅行…チャンスはある。=敬称略=

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