愚直に公約を守る人
【9月9日】
今思えば、すげぇメンバーが来てくれたものだ。星野政権が2年目を迎えた03年の正月。デイリースポーツの元日紙面に登場いただいたのは高市早苗、小池百合子、福島瑞穂、そして鳥越俊太郎。
熱烈な虎党の高市が自民党総裁選への立候補を表明したのは一昨日のことだ。本紙はざわつく読者に、昨日の紙面で18年前の記事を復刻、「開示」させてもらった。 そう。高市があの座談会の公約を守ったという記事である。紙面の都合で一部しか紹介できなかったので当欄でもう少しだけ…。
当時の懐かしい紙面をめくってみると、ジャーナリストの鳥越が司会役となり、高市が、小池が、惜しげもなく阪神愛を語り尽くしているじゃないか。
高市早苗「皆さんに協力してほしいんだけど…。タイガースがもし優勝したら、読売新聞社の本社前で『六甲おろし』を一緒に歌いましょう、4人で」
小池ら一同笑い&拍手
鳥越「やりましょう。それ、やりましょう」
これがリアルなやりとり。
優勝の機運高まる星野阪神を盛り上げるべく、政界の虎党座談会を開催したわけだけど、いまや時の女性(ひと)…。で、言い出しっぺの高市は、この公約をホントに守ったのか??守ったのだ。 他のメンバーは「あなた、ホントに優勝したらどうすんの」ってなもんで笑ったのかもしれない。しかし、オンナに二言はなく…。
ただ実際は、読売本社前は叶わなかった。道路使用許可が難航したため、日本テレビ前に舞台を移し、黄色のハッピ姿でタオル、メガホンを携え、高市は「六甲おろし」を高らかに熱唱したのだ。
何だかめちゃくちゃ長くなったけれど、これが前置き…。
嗚呼、自滅。初回から大量失点の展開になると、現実逃避したくなるもので、ついつい見方を変えてしまう。
あらためて個人成績に注目すれば、〈公約〉を守ろうと、愚直に頑張っている選手がいる。
近本光司だ。
プロ野球選手が年に一度ファンに〈公約〉する機会があるとすれば、契約更改の会見だろう。
来季はこんな年にしたい-。
メディアに問われ、具体的な数字を挙げる選手も少なくないが、昨年オフの近本もそうだった。
目標のタイトルを問われると、「3年連続の盗塁王もそうですけど、最多安打を目指してやりたいです」とズバリ語っていた。「3割」或いは「首位打者」と言うのかな…と思っていたら違ったのでよく覚えている。
終始劣勢のこの夜、近本は第1打席から安打を重ね、四回には追撃の2点タイムリー。今季の安打数を「132」まで伸ばし、現在セ・リーグトップに立っている。
19年=159(143試合)
20年=139(120試合)
21年=???(143試合)
新人イヤーから着実に安打数を積み上げてきた。〈公約〉を守るべく、自身とも闘う男…応援したくなる選手だ。=敬称略=