ラミちゃんの持論

 【10月12日】

 残り10試合になった。東京ドームのGT戦も明日がラストになるけれど、阪神にとって残りはトーナメント。サッカーW杯予選も気にしながら当欄を執筆する中で、あと一つ、気になることが…。

 可能性ある限り、逆転優勝にこだわるし、優勝原稿の取材も続けつつ、そろそろ個人タイトルの投票を視野に入れる時期になった。

 ご存じの方も多いと思うが、プロ野球のMVPや新人王、ベストナインなど各賞は記者投票によって決まる。新聞、通信、放送各社に所属し、5年以上プロ野球を担当する者に投票権があるので、オッサン記者にもその権利がある。 毎年のように「メディアは責任と自覚をもって」と、ファンから指摘されることが多い同投票は、無記名投票だと誤解されているふしもあるけれど、しっかり、社名と名前を書いて投じなければ無効とされるものだ。

 僕の中で各部門それぞれ名前が浮かんでいるのだけど、ふと、球界OBの発言が目に留まった。

 この日(12日付け)の日経新聞スポーツ面のコラムでA・ラミレスがこんなことを書いていた。

 「投手には沢村賞という名誉がある。MVPは野手から選ぶべきだというのが私の持論だ」

 2000年から昨年まで21シーズンを振り返れば、投手がMVPに選ばれたのは、わずか5シーズン。残りの16シーズンは、野手がMVPに輝いている。最近10年間なら、菅野智之が2回(14年、20年)、そして、特筆したいのが、もう1人の投手MVP=11年の浅尾拓也である。

 さて、ここでラミレスの持論がどうなのかというハナシである。

 つまり「野手をMVPに選ぶべき」とするならば、沢村賞の対象にならない中継ぎ、抑え投手の名誉をどう考えるのか。かつて中継ぎや抑え、リリーフ投手でセ・リーグMVPに選ばれたのは、佐々木主浩(98年)と、浅尾のみ。リリーフ投手が沢村賞に選ばれたことは、もちろん一度もない。

 そう考えれば、沢村賞にもMVPにも縁が無かった岩瀬仁紀という球界の至宝が思い浮かぶけれどさて今シーズンはどうだろう。

 ヤクルトが負けた夜、最後まで阪神の逆転優勝を信じる僕の中でMVP候補は2人に絞られる。1人は今季13度目の猛打賞を記録したリードオフマン。そして、もう1人が不動の守護神であることは言うまでもない。

 ラミちゃんの持論に沿うならば前者をMVPに選ぶことになるけれど、沢村賞対象外である後者の貢献度だってインパクトはハンパない。この日、40セーブを挙げた彼が、呉昇桓のもつ球団外国人最多セーブ「41」を更新することは間違いない。そして、何よりもまず、めでたく巨人に勝ち越した猛虎が王者になることである。ちなみに、本紙記録部によれば、過去にセ・リーグで優勝チーム以外からMVPが選出されたのは、王貞治(64年、74年)とバレンティン(13年)しかいない。もちろん、そんなこと眼中にないけれど。=敬称略=

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