コーチを代える理由
【11月8日】
今岡真訪と話をした。きのう夕方のことだ。CSファイナル進出おめでとう。それだけ伝えようと思ったのだけど、長いことしゃべってしまった。彼とは波長が合うので、いつもそうなる。
17年の秋に阪神を退団後、請われて千葉ロッテへ移籍した。昨年まで2軍監督を務め、今年から井口資仁の参謀役、ヘッドコーチとして優勝争いへ導いた。
近年は、毎春、今岡に会いにロッテの石垣島キャンプにお邪魔してきた。今年はコロナ禍で叶わなかったので残念だけど、今オフ、メシの約束をした。店も決めた。
指導者としては口数は少ない…というか、ほぼ何も言わず見ているのが今岡のスタンスである。
決して、べらべら喋る、手取り足取りの指導者が「悪」だなんて書くつもりはない。いい悪いは結果で見られるわけで、僕は基本的に、プロ野球に限っては「動」より「静」の指導が選手を育てる…と勝手に思っている。
深くツッコんだ話はしないけれど、阪神OBとして今岡も古巣が気にならないわけではない。ネットでストーブリーグが目に入るわけで、新加入が取り沙汰されるファームのコーチ人事についても、少しだけ話題になった。
平田阪神はコーチ陣が様変わりするが、1軍のコーチ人事はどうなるのか。これは今岡ではなく、ファンの関心事である。
僕の取材の限り、1軍コーチは全員、そのまま。矢野体制は来季も現状の指導者で日本一を目指すことは、決まっている。
「結果がすべて」「綻びがどうにもならないなら一新するべき」
V逸を受け、そんな声も上がるけれど、球団内では既に「代えない」ことで意思統一されている。
レギュラーシーズン最多勝利のコーチ陣を代える理由はない。
これが球団フロント内で大勢を占める声だ。
じゃ、吉田はどう思うんや?
そう問われれば、毎度エラそうに書かせてもらうが、コーチをとっかえて諸々問題が解決するものではない…というのがオッサン記者の見解で、代えたでしょアピールなんて要らないと思っている。
矢野燿大が「俺自身の成長も必要」と語ったように結果が出ない責任を問うならば、指導のスタンスの「見直し」が必要かどうか検証するべきだとは思う。スタンスといえば広義になるけれど、仰々しく書くなら「指導者とは」「コーチとは」のハナシに行き着く。
「僕は選手に好かれようと思ったこともないし、(いい成績を残すことが)自分の仕事であって。成績が悪ければ、自分は辞めなければいけない」
これは星野仙一政権時代の投手コーチ佐藤義則が当時、NHKの特番で語った信念である。
同じ星野時代のVを知る今岡も指導者の理念としてそこは同じ。選手とは意図的に距離を取る…そんなハナシにもなったのだけど、そこで今岡と僕が話題にした男がいる。鳥谷敬である。鳥谷が指導者になるなら、どんなスタイルの…この続きは次回。=敬称略=