選手と距離を取る哲学

 【11月10日】

 CSファイナルステージが開幕した。セを見ようか、パを見ようか。いや、どちらも見ないと。シゴト上の優先はセか。でも、見たいのはパ。能見篤史のオリックスか。今岡真訪のロッテか。

 やっぱり虎のOBを…そんなこんなで両方見ながらこれを書いている。セとパ、時間ずらしてくれたら楽なのにねぇ。そもそも阪神が出ていれば…愚痴は言うまい。

 京セラドームの三塁ベンチで腕を組むその姿が時折映る。千葉ロッテのヘッドコーチである。

 できれば、日本シリーズで阪神と戦ってみたかった?そんな野暮なことは聞かなかった。今岡と長話になった週明けの電話の件だ。

 前回の続きを書く。

 ファイナル進出おめでとう…お祝いを言うために今岡に連絡をとった。パ決戦の舞台は大阪だから晩メシでも…なんて、まだまだ、そんなご時世じゃない。だから、スマホ越しに聞いてみたかったことだけ聞いてみた。

 今季限りでマリーンズのユニホームを脱いだ鳥谷敬のことだ。

 阪神を去って以降、鳥谷のパフォーマンス、インタビューなど、メディアを通じて目にしてきた。引退会見もすべて見させてもらった。阪神時代とは違う顔つき、発言…それらは、フィールドでもフィールドを離れたときも感じた。

 現役そして指導者として、その「素顔」をそばで見てきた今岡はどう感じていたのか。

 「僕とトリですか?言い方は難しいですけど、くだけて話せる間柄ではありますよ」

 今岡と鳥谷は波長が合う。間違いなく合う。なぜか。

 プロの中でも天才肌といわれる今岡はその昔、ノムさんから「何を考えているか分からない」と評されたこともある男だけど、それは僕の見解では、彼が、これがプロのあり方、そういう「本質」をブレずに持ち続けていたからである。力のない人間がそう言って意地を張っても淘汰される世界なので、若い選手たちへ軽々に「今岡を見倣え」とは言えないけれど、鳥谷にはそんな「本質」に共感できる要素が多いのだと想像する。

 「今年はトリとよう喋りましたよ」

 今岡は言った。

 だから、余計に聞いてみたくなった。僕の関心事を直球で。

 もし、仮に、鳥谷が将来プロ野球の指導者になったとしたら、どんなスタイル、どんな哲学で選手と接し伝えるのか。

 「まず、一定の距離を取るでしょうね、選手とは…」

 ほう。

 「どこの球団とかではなく、昔から、プロ野球って、選手と距離を取るコーチって少ないと思います。一緒にメシへ行って友達感覚になってしまうというか…。そのこと自体が良いとか悪いとか、そういう話ではないんですけど、少なくとも、トリはそういう指導者にならないということです。彼のすごいところは…」

 書き出すと、スペースが足りなくなった。この続きは次回。=敬称略=

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