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鳥谷敬の人間性

 【11月12日】

 鳥谷敬がサンテレビ「熱血!タイガース党」に生出演した。京セラドーム、神宮のCSファイナルが佳境であったにも関わらず、関西の阪神ファンは素顔のトリにクギ付けだった?かもしれない。

 パの王者オリックスに食らいついた千葉ロッテだけれど、ヘッドコーチ今岡真訪の発言が新聞で見られることはまずない。コロナ禍で取材制限もあるわけだけど、それにしても、紙面、ネットで「今岡」の記事を見掛けることはなかった。阪神の参謀なら何か発言すれば、大きな見出しになる一方、他球団でそんなことはまったく…

 「それが阪神ですから」

 今岡はそう語る。

 鳥谷は千葉ロッテの引退会見で「阪神では、野球選手の鳥谷敬を一生懸命演じている感じだった」と語った。つまり「仮面」をかぶっていたんだ、と。

 阪神とロッテ両球団で、選手、そして指導者として鳥谷を見てきた今岡は、「仮面」をとった後輩の素顔を知っている。

 前回の続きを書く。

 今岡と電話で長話をしながら、「鳥谷の今後」について振れば、これまで聞いたことのない人間の本質のハナシになった。

 鳥谷がもし指導者になるなら?

 「トリって、よく試合に出続けたこととか、2000本打ったこととか、練習をよくするとか、陰の努力がすごいとか、言われるじゃないですか。今さら僕が風さんにそれを伝えても、おもしろくないでしょ。誰でも知ってますもんね。もちろん、野球選手だから、数字だったり、そういうことで評価されるのは当然なんですけど、指導者になって、人に教える立場になって、大事なことはそこじゃないということを彼は知っています。トリのすごいところは、人間性です。僕は指導者として7年目ですけど、今年の彼を見て、また彼とたくさんしゃべって、あらためて勉強させてもらいました」

 今岡と鳥谷が、互いにとってホンネで付き合える希少な存在であることは前々から感じていた。しかし、そんな関係性も概して片方が指導者になれば変わり…この類のハナシは球界でよくある。しかし、彼らにとって「信頼」が不変だったのは、互いに、根っこの部分、人間性を信じていたからだと思う。

 選手は指導者の何を見るか。実績やコーチングも大事だけど、実はそこから信頼は生まれない。言っていることと、やっていることが合わない、言行不一致が見て取れたとき、信頼は一気に失望に変わる。

 「大事なのは人間の器です」

 今岡は言う。

 「(鳥谷には)それがあるんですよ。表と裏で行動を一致させること。人間性の部分ですよね。もし、指導者になるなら、素(す)を出してやると思いますよ」

 たとえ、阪神でも?

 今岡は笑っていたけれど、きっとそうなのだろう。

 鳥谷がもう一度ユニホームを着る…そんな日がくることが待ち遠しくなった。=敬称略=

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