対大谷・667の才

 【11月20日】

 僕が柴田なら、そりゃもう、あちこちで自慢しまくると思う。あの大谷翔平から2本も打ったんだぞ。しかも、バチーンとクリーンヒットをな。もうひとつ言うなら3打席で2本だぞ。

 打率になおせば、6割6分7厘!エグいやろ??

 うん、間違いなく言いふらしている。何ならSNSに当時の写真をのっけて…。今、これ以上の武勇伝はない。嫌われる?いや、何でもいい。だって、メジャーでMVP…しかも、満票で、文句なしで獲った男から2本も…。

 もう、いいか…。

 当の本人はまったく自慢してないのだから、こんなの書いていたら、怒られそうだ。

 柴田って…もちろん、虎党ならご存じ、阪神OBの柴田講平である。あれは、15年。日本ハムとの交流戦で「投手大谷」をカモにしたよね。覚えてるよね。

 「覚えてます。カウント、コース、何球目…すべて覚えてます。1本目は外寄り。2本目は内寄りです。なぜ打てたか?う~ん。それは…なんででしょうね(笑)」

 MVP大谷からの柴田講平…ネットでプチトレンドになった。当人に連絡してみると、照れながらそんなふうに答えてくれた。

 間違いなく解説もできる。こんな感じで打ったんです-と。でも柴田は言わない。彼なりの美学だろう。誰にも言わず、きっと、そっと胸の奥に生涯しまっておく。そんな気がする。

 彼は16年に阪神を自由契約になったわけだけど、大谷からかっ飛ばせる選手ならもっと活躍できるのでは?そう思ってしまう。

 「いや、すごくいいものを持っていますよ、柴田は。僕の真似をしてくれるので、責任も感じながらいろいろ話をするんですけど、何かきっかけさえつかめば、絶対1軍で活躍できる。それだけのものがあります。取材だから言うのではなく、本当に」

 日本シリーズ開幕戦で山本由伸から安打を放った青木宣親を観ながら彼の言葉を思い出した。柴田がコピーのように青木を真似ていたこと、そして、弟子入り志願し青木の自主トレに参加していたことは有名。青木が柴田の技術を褒めていたので、柴田が大谷から2安打した日も、なるほど、青木の言う通り。そう思っていた。

 柴田が大谷を撃ったのだから、そりゃ師匠も…と思ったら、意外にも「青木対大谷」の対戦は日米で一度もないそうだ。

 阪神と共にある当方は日本シリーズはもちろん注目するのだけど心は鳴尾浜と甲子園にある。

 青木がその才能を認めるような逸材が今の若虎にも必ずいる。

 「ユニホームを脱いでから、もっとこうしておけば…そんな思いも出てくるものなんですよね…」

 引退後、タイガースアカデミーの指導者としてジュニア世代の野球振興に携わる柴田はそんなことも話していた。才能の集合体で、それを開花させる「一握り」に入るためには、どんな努力が必要なのか。毎年、この時期にそんなことを考える。=敬称略=

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