時代よ変わってくれ

 【11月25日】

 野球離れの背景には一体何があるのか。27日、朝8時放送の読売テレビ「ウェークアップ」でそんな主題の特集がオンエアされる。番組が取材したのは、甲子園の街・西宮の少年野球チームだ。

 当欄で前々回から紹介している「苦楽園オールヒーローズ」がそのチームであり、監督を担う野村努がインタビューに答える。

 長らくヒーローズを率いてきた野村によれば、同チームは最盛期で50名近い部員が在籍したが、現在は半減して23名。競技人口減少の波にのまれ、来春から合併チームで再出発することになった。

 野球離れがすすむ現状をどう食い止めるか。野球を愛するオトナたちが重い腰をあげるときが、もうずいぶん前からきている。

 拙稿が一助になればとの思いでこれを綴っているが、発信力という意味で、最も影響力のあるオトナはプロ野球選手、そしてOBである。SNS隆盛の時代、彼らが発言すれば球界は注目する。最近は、僕もツイッターでその投稿を拝見しているが、中でも「問題意識」を感じる一流が2人…。ダルビッシュ有と藤川球児である。

 誹謗中傷が溢れるネット上では誰だって炎上を恐れがち。著名人になれば例外なくそうだと思うけれど、この2人は、奥歯に物がはさまったような呟きはせず、日和らない。「自分の意見」をしっかり伝えるので、個人的にめちゃめちゃ好感をもって読む。

 時代よ変わってくれ…

 いつまで古い体質なん??

 先月、藤川はある高校の野球部で起きてしまった事故を嘆き、そう呟いた。きょうは詳細を省くけれど、僕もまったく同感だった。

 アマ野球を取材してみれば、時代とともにアップデートしている指導者はジュニア世代でも多い。その一方で、少年野球の現場にはいまだ罵声…酷ければ「○ね!」まで飛びかうチームがまだまだ実在する。指導者だけじゃない。親が選手を潰す場面もリアルに見てきた。フィジカル、メンタル両面で、こどもたちの夢を壊しかねない理不尽。こどもたちが野球を嫌いになる、旧態依然の体質がいまだ根深く、野球離れに拍車をかける一因になっている。 

 断っておくが、僕自身、体質の古い記者である。しかし、日本野球が廃らない為に「時代よ変わってくれ」と書く。夢、野心を持てる「心と体」を少年時代に潰さないことが、この問題の最初の扉だと書き続けようと思っている。

 小中高、今でも強豪チームになれば、比較的部員は集まる。

 勝つ努力をして、勝つから集まるんだ。そう仰る指導者もいらっしゃるけれど、そういうチームの関係者(親含め)、そして、各連盟、協会のリーダーにこそ、視野を広げ野球界の裾野を想像していただければと思う。もしかして、このやり方、この体質では野球離れに拍車がかかるかも…一片の危機感を携え、「時代よ変わってくれ」なる叫びに少しだけでも耳を貸す。一気に変えることは難しくとも、半歩ずつでも大きな山が動くことを願っている。=敬称略=

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