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来るなよ。来るなよ。

 【11月29日】

 梅野隆太郎の去就やいかに?

 日本シリーズも終わり、もっぱら虎党の注目はそこに集まる。FAの有資格者が権利行使する申請期間は昨日から12月7日まで。このやきもきは暫く続きそうだ。

 熟考しないFA選手なんていないわけだけど…FAといえば、僕は赤星憲広の言葉を思い出す。

 「マジで来て欲しくなかったですよ。来るなよ、来るなよって、ずっと思ってました。来ると決まったときは、マジかよって…」

 金本知憲が阪神入りを決めた02年のオフを述懐し、レッドがそう明かしてくれたことがある。

 あれは07年のシーズン最終戦のこと。10月のめちゃくちゃ寒いナイターだったことを覚えている。神宮のヤクルト戦を終えた後、西麻布へ2人で食事に出掛けた。どんな経緯だったか覚えていないけれど、FAのハナシになり…

 「カネさんが来たら外野の枠がひとつ減る…しかも、全試合フルイニング出る人ですから。職を失うかもしれないわけですよ、僕からしたら。そりゃ、頼む、絶対来ないでくれって思いますよね」

 03年、05年の優勝はともに、赤星、金本抜きには語れない。ご存じのように、そんな不安を反骨心に変えた赤星はレギュラーを誰にも渡すことなく、しばらくは、タイガースの外野2枠が不動の時代が続いたわけだ。

 僕は当時のカープを知らないけれど、逆もまたしかりで、カープの外野陣で「カネさん出ていけばチャンスがくる」と思っていた者も間違いなくいた。そういう意味で、梅野のような「絶対的捕手」の去就でソワソワしている選手は内外ともに必ずいる。僕が阪神の捕手なら?「梅野さん出て行ってくれ」と思う。よその球団の捕手なら?「梅野さん、絶対、FA行使するなよ」と考える。

 これまで注目したことがなかったけれど、じゃ、金本が移籍した前後のカープはどうだったのか。

 02年=セ5位。チーム打率・259。チーム本塁打154本、チーム打点516

 03年=セ5位。チーム打率・259。チーム本塁打153本、チーム打点539

 では、金本が加わる前と後の阪神は?

 02年=セ4位。チーム打率・253、チーム本塁打122本、チーム打点492

 03年=セ優勝。チーム打率・287、チーム本塁打141本、チーム打点695

 数字だけ見れば、カープはそんなに変わっていないように映る。一方の阪神は、やはり攻撃力のステージが格段にアップしていた。

 概して野手のFA移籍の歴史を振り返れば、「主力が去ったチーム」はその損失を埋めようと必死に踏ん張り、「獲得したチーム」は相乗効果で総力が上がる。

 「攻」「守」とも数字に直結する捕手は特殊なポジションであり金本の例に照らすことはナンセンスだけど…正捕手が他へゆけば?何が起こるか想像に難くない。梅野抜きで優勝する未来図を僕はなかなか想像できない。=敬称略=

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