プロセスを見る成果主義

 【11月30日】

 球界の大物と食事をした。先週のことだ。感染対策を万全にして広めの個室で…。きょうはその人物を主題に野球の本筋を書くわけではないので、もったいぶるようだけど、その名は近いうちに。

 「記者だって結果を求められるよね。結果を出せなかったら?」

 その人物から聞かれた。

 最近当欄でそんなハナシを書いたところだったのでビクッとしたが、はっきり答えた。

 結果を出せなくても辞めさせられることはない、と。

 そこはプロ野球との大きな違いである…周知のことだけど。

 スポーツ新聞の現実としてプロ野球担当なら配置換えはあると伝えると、その大物は「どんなときに?」と首をひねる。う~ん…また、弊社の社長に聞いておきます…と笑ってごまかしておいた。

 その人物曰く、プロ野球とまではいかなくとも、「成果主義でなければ会社は成長しない」というのだ。結果を出さないのに、しかるべき人間にうまく取り入り、またそのしかるべき人間もそれを心地良しとする。その一方で結果を出しても、うまく取り入れられない人間はバカを見る…のだと。

 「そんな企業は一時的に突っ走っても最終的には競争に負ける」

 一流企業の役員と数々繋がる者の言葉だから、ズシリと響く。

 何を書きたいかといえば、もちろん阪神のハナシに繋がる。

 取材の限り、阪神球団はフロントがしっかりしている。こう書けば、どうした吉田!気味が悪いとツッコまれるかもしれないが、ホンネである。どうしっかりしているのかと問われれば、書き尽くすにはスペースが足りないけれど、ここ数年ずっと「成果主義」を大切にする企業だからと答える。

 補強、ドラフト、営業…これはまた今度書く。

 実は、阪神球団副社長の谷本修とそんな類の雑談をしたことがある。

 「成果には運もあります。プロセスは大事です」と語っていた谷本だけど、それこそ部下の仕事を普段からよく見ていなければ、そんな言葉は出てこないわけで…。

 3~4年前だったか、光文社の新書『若者はなぜ3年で辞めるのか』(城繁幸著)を読んだ。06年初版だが、その当時から「上場企業の約9割で成果主義が取り入れられている」とある。著書の本筋とは外れるが、実質、成果主義が取り入れられない企業がまだまだ沢山あり、逆にいえば、今の時代成果主義…もっと言えば、谷本流の成果主義が取り入れられない企業が発展できないとする旨は、理屈としてはよく分かる。

 オフの外国人、FA問題がどう決着するか。阪神のフロント陣は「成果」をあげるため日夜奔走している…それこそ、取材しなければ「プロセス」は分からないことであり、記者が結果を求められるストーブリーグ真っ只中である。 梅野隆太郎の去就はどうか。新助っ人はどこから、野手、投手を何人獲得するのか。リモート取材でジッとして降ってくるものではない。続きは次回。=敬称略=

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