三笘も堂安もいないけれど
【10月13日】
三笘も堂安も鎌田も大然もいない。W杯予選前最後の調整マッチでそれはないんちゃう?…とは思わなかった。この夜、新潟で開催されたサッカー日本代表の親善試合カナダ戦である。
ここで細かくゲームの内容には触れないけれど、招集されたメンバーを見てワクワクした。コンディション不良のスター選手が不在でも、久保、南野、伊東、遠藤、浅野、古橋、旗手、冨安、上田、田中碧、中村敬…魅力満載のフットボーラーがわんさかいる。
僕が初めてサッカーを担当したのは、02年のW杯イヤーだった。再び担当したのは、12年のロンドン五輪イヤー。いずれの代表にも唯一無二のスーパースターがチームを引っ張った。中田英寿と本田圭佑である。両者は、今の世代の野球でいう大谷翔平のような存在だった。親善試合であれ、彼らがコンディション不良でピッチに立たなければ、TVの視聴率は伸びないだろうし、新聞メディアの立場からしても「見出し」が立ちにくい。必ず出てくれよ…みたいな雰囲気が当時少なからずあった。が、今の日本代表には、それほどない。もちろん、いい意味で。
どちらの組がスタメンでも遜色のない「11人」を二組つくることができる。これが代表監督・森保一の理想ではないか。そんなことを思いながら、岡田阪神を考察してみる。
さすがに虎のベストオーダーを遜色なく2組つくれるかといわれれば、まだ難しいかもしれない。
が、近い将来、そういう期待を抱かせるメンバーが今の阪神にはいる。例えば、キャンプの紅白戦で紅組の4番は大山。白組の4番は佐藤輝。双方のクリーンアップ候補だって贔屓目抜きに名前が挙がるし、守備位置で見れば、特にショートは紅白とも遜色のない守備力を有する顔が浮かぶ。来シーズンのエース候補だって、僕の中で3~4人は名前が挙がる。
ただ、こう書けば、選手はあまりいい気がしないはずである。
俺はオンリーワンや!と…。
確かにそうだ。阪神に近本光司が2人居るかといわれれば(居れば最高だけど)そうじゃない。
この日、CSの共同記者会見が開かれ、阪神は、監督の岡田彰布と選手会長の近本が甲子園からリモート参加した。そこで、ポストシーズンのキーマンを問われた指揮官は近本を指名し、こんなふうに言い切った。
「一回の裏、先頭の近本が塁に出たら勝つと思います。それだけですね」
みんな代役の利かない選手でありたいわけだが、近本は入団5年目にして、まさにそんなステージに達した選手である。僕がカープやDeNAファンなら、1番に近本が立つだけで吐き気がする。
近本を脅かす選手が出てこないか。中野拓夢に取って代わる二塁手はいないか。そんな視点でフェニックス・リーグをずっと見ている。優勝したからこそ、宮崎に注目が集まる秋。CS調整の場…としてだけ見るにはもったいない素材がたくさんいる。=敬称略=
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