「祝!ARE」の工事現場

 【11月7日】

 甲子園球場からタクシーに乗ってスマホのストップウオッチを押した。43号線を走り、目的地について見ると、12分30秒。近っ…。何度かここへ来たけれど、所要時間を測ったことはなかった。

 尼崎市の小田南公園である。

 工事中の目隠し鋼板の内側を伺い知ることはできないけれど、ファンも待望する阪神ファームの新施設の「現在地」を見たかった。

 写真をご覧になってほしい。コンテナ事務所には「祝!ARE」の横断幕が掲げられている。前回ここへ来たのは昨年の春頃だったか。あの頃は、23年秋に岡田彰布が日本一の監督になっているとはもちろん想像できなかった。鳴尾浜から尼崎への移転が決まり「着工後」を見るのは初めてだけど、なぜ悲願を達成したこのタイミングかといえば、日本一監督の「宣誓」を聞いたからである。

 おととい(6日)のオーナー報告の後、岡田は「もっともっと強いチームに」と語っていた。

 25年のファーム施設移転は、タイガースが黄金期を迎えるためのビッグプロジェクトである。2年後の完成を目指し着々と進行する工事は、阪神電鉄の本社筋によれば「極めて順調」だという。

 球団の関係者に聞くと「今お話できることがあまりないんです」と言うが、取材によれば、新たにホームタウンになる尼崎市は11月27日に阪神の「優勝報告会」を開催し、その席に、環境省から大臣クラスをぜひとも招待したい旨の要望をあげているという。

 なぜ環境省か?といえば、新ファーム施設が文字通り「地球環境に優しい」設備を取り入れるからである。昨年、尼崎市と阪神電鉄は環境省が実施した「脱炭素先行地域」(約100箇所)の公募に共同提案で応募し、同省はこの提案を選定した。電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロへの取り組みや温室効果ガス排出削減についても新施設はこれを目指し…って、これらコンセプトはHPに掲載してあるので割愛するが、ホームタウンの環境に優しい虎は国の支援も得て、国内球界最大規模の「虎の穴」に生まれ変わるのだ。

 ホームタウンといえば、僕自身西宮に住んでいるせいか、街のあちこちでまだまだ歓喜の余韻を感じる。小学生の通学風景を見ても阪神帽をかぶる子ども達が明らかに増えているし、あらためて「地域密着の虎」を感じている。

 先ごろ西宮市は「11月27日に岡田彰布監督や一部選手が参加する優勝報告会を市役所付近で開催する」と発表したが、前述のように尼崎も同日に開催するので、それぞれの街で「日本一報告会」…。つまり、岡田は両市をハシゴし、大阪や神戸のパレードとは別に、地元市民から「ありがとう」を伝えられ、また、両市民のサポートに感謝する一日になりそうだ。

 日が暮れる小田南公園の工事現場を眺めながらふと考えた。そういえば、新ファーム施設の独身寮の名はどうなるのか。取材によれば…「虎風荘」。慣れ親しまれたこれまでと変わらないそうだ。=敬称略=

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