7時半の球場入りを見て

 【3月30日】

 大瀬良大地がマツダスタジアムに入った。さすがに早過ぎへん?そう思ってスマホを見れば、7時30分。プレーボールの6時間前である。続いて球場入りしたのは野間峻祥だ。

 こんなに早く来て何を?

 野間に聞いてみた。

 「いろいろ…ですね。走ったり、初動負荷のトレーニングをしたり…」

 カープの関係者によれば、開幕カードは3日間とも、投手では大瀬良、野手では野間が球場に一番乗りしていたという。それにしても7時台は早い。

 あぁ、ボク?いつもの朝ウオークで球場の外周をてくてくと…。たまたま彼らの出勤に出くわしただけで、決して「入り待ち」の鯉党ではない。

 大瀬良は13年ドラフトの1位入団で33歳。野間は14年ドラフトの1位入団で32歳。今シーズンはカープ指揮官の新井貴浩が「育成重視」を打ち出しており、同じ力量なら若い選手を…そんなチーム方針だから、30代は「力」でそれをはね返さなければならない。

 尻に火?いや、特にそういうあれでではないようだ。大瀬良も野間も今シーズンに限らず、早出はルーティン。勝手に「物語」を作っちゃいけない。

 さて、新井にとって頼りになる秋山翔吾が五回の守備からベンチへ下がった開幕3戦目である。退いた内情は分からないけれど、秋山に代わった21歳の田村俊介が2点目の適時打を放つのだから野球はどう転ぶか分からない。

 カープの外野陣は、22歳二俣翔一の台頭、新外国人S・ファビアンの獲得で野間のプライオリティはどうしても苦しくなる。しかし、ルーキー時代から彼を知る者としては、まだまだがんばれ!と敵陣ながら旗を振りたくなるし、人知れず早朝から地道に汗を流す者を野球の神様は見捨てない…そう信じてやり通すしかない、とも思う。

 藤川阪神は初黒星を喫して地元へ帰るわけだが、このゲームを総括すれば森翔平の好投はもちろんだけど、彼を援護したカープ外野陣の好守にやられた感がある。初回は近本光司の「ヒット」をファビアンのダイビングに阻まれ、八回は木浪聖也の「タイムリー」を二俣のスライディングにもぎとられた。この2本がHなら…愚痴をこぼしたくもなるが、出番のなかった野間がこのシーンをどんな気持ちで眺めたのか。気になりつつこれを書いている。

 もう一人の早出男、大瀬良は開幕2カード目に先発するようだけど、彼を思えば、同級生の現在地も気になる。

 「大地も頑張ってるんで…」

 3戦目にして初めてスタメンマスクをかぶったタイガース梅野隆太郎は僕にそう語っていた。大学ジャパンで大瀬良と共に戦った33歳はキャンプからずっと肩の具合が良かった。栄枝裕貴ら若い力が台頭すればそれを圧倒するだけの力が求められるが、梅野は「大地はまだまだ負けないと思っているでしょうし、僕も」と復権をもくろむ。 新旧の切磋琢磨…なんて書けば、野間にも大瀬良にも梅野にも怒られる。戦力に古いも新しいもない。そのあたり、両軍の将はいつも視点がフラットな指導者である。=敬称略=

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