球団社長の凡事徹底

 【10月19日】

 大谷翔平を侍ブルーへ招聘すればどうなるか?代表監督の森保一は「今からサッカーをやっても点を取れそうな気がする。(来年の)W杯の秘密兵器ですね」と、ジョークを飛ばした。

 大谷がワールドシリーズを決めたプレーオフで3発かました日、東京都内でJリーグを視察した森保は集まった記者とそんなやりとりをしていた。

 異次元の怪物ならガチでやれば本当にやりそうだから怖いけれど…そこまでいかなくとも、畑が違っても成功しそうな人って世の中にはいる。あいつなら、何でもやれそう…その期待感はどこから来るのか。

 潜在性か。好奇心か。行動力か。

 阪神監督の藤川球児はCSファイナルを3連勝で突破した夜に、その要因についてこんなふうに語った。

 「クライマックスファイナルだけではなくて、シーズンに入る前から常に一歩ずつ一歩ずつ準備をすると…。準備をしたうえで、その準備をゲームになった時に使わないぐらいの、そういった準備でやってきたので選手たちは非常にスムーズに動いていました」

 「準備」がすべて。

 球児はそう言いたげだった。

 大谷翔平の「準備力」はここで書くまでもない。彼ならサッカーでも成功できるのでは?と森保が感じたのは、才能はもちろん、超一流の準備を見聞きするからかもしれない。

 船出一年目で日本シリーズ進出を決めた藤川阪神は「凡事徹底」をパワーワードにする組織だけど、これについて球団トップに確かめたいことがあった。虎は凡事徹底で勝った。では一蓮托生で戦ったいわゆる背広組、球団職員にとって「凡事を徹底する」とは何を指すのか。そもそもそれを目指しているのか。日本シリーズへ行く前に球団社長の粟井一夫に聞いてみた。

 「藤川監督の凡事徹底というのは、結果だけを問うのではなく、まず準備をおろそかにしなかったかどうか、それを徹底することだと思うんですよ。そういう意味においては我々も同じ。球団で働くサラリーマンというのは、いわゆる野球選手のような成績は出ないですよね。でも、私がいつも言っていることは、(持ち場で)それぞれに役割があって、それをしっかりこなすことで組織に貢献するという意味では野球と一緒だよ、ということ…」

 なるほど。しかし、プロ野球は一年一年結果を出せなければ、どんどん淘汰される世界。同じ組織でもいわば畑の異なるところでそこまでの厳しさを求めるということか。

 「プロ野球のような成績は出ないけれど、自分が納得する成果を毎年毎年…去年より今年、今年より来年っていう自分なりに成果を出し続けることは大事なこと。プロ野球で毎年キャリアハイを目指さない選手はいませんね。(職員も)キャリアハイを目指そうというのは以前から話していることですけど、去年と一緒でいいやとか、これくらいでいいやと思った時点で…」

 「仕事を辞めなあかん」とまで粟井は踏み込まなかった。けれど…。この続きはまた近いうちに。 =敬称略=

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