日テレ元執行役員、再び
【11月8日】
青森行きの全日空機を待つ伊丹空港の搭乗ロビーでメールを着信した。送り主は、平林邦介。日本テレビの元執行役員である。ご機嫌伺いというか、提言のような御手紙を拝読すれば…
そこにはやはり阪神タイガースへの愛がギッシリ詰まっていた。
以前当欄で紹介した方だから覚えてらっしゃる方もいると思う。が、初めての方にはちょっと説明が要る。
なぜ、よりによって「敵陣」の元執行役員が「阪神愛」なのか。
平林の経歴をみれば、巨人軍の元球団社長・今村司が日テレスポーツ局時代の部下…そんなキャリアをもつ読売グループのエリートが実は筋金入りの阪神ファンだった。1966年に日本テレビに入社し、報道、ドラマ制作で28年。その後、編成に異動して要職に就いた。阪神ファン歴は1959年の天覧試合以来、66年間。村山実の虜になってから一度も浮気はないという。
なぜ、そんな人と僕が繋がっているのか。それは、平林が読売新聞、スポーツ報知ではなく、デイリースポーツの愛読者だから…。そして畏れ多いことに、この拙コラムを長年読んでいただき、ときに激励をくださるからだ。 日テレの編成局スポーツ担当時代は東京ドームの後部席にいつも徳光和夫アナが座っていたそうで「面従腹背」の日々…そんな話も以前に書いた覚えがあるけれど、さて今回は…。
平林「藤川監督はコーチ経験もなく解説者からいきなり監督で最速でのリーグ優勝…素晴らしいに尽きます。感動しました。人間は我儘なもので、リーグ優勝しただけでも満足すべきところ、CSも勝ってしまうと、日本シリーズも制覇してほしくなる。しかも、相手はソフトバンク!私はスポーツ紙はデイリーしか読んでいないので分かりませんが、吉田さんはじめ、プロの皆さんは新聞には書けなくても何故負けたかご存じだと推察申しあげます」
このやりとりはとても一度では収まらないので何度かに分けて書きたい。
今回は平林が「ソフトバンクにだけは負けて欲しくなかった」理由と、そこから派生するチーム編成の理想像に焦点を…。話は尽きなかったが、要は「補強、補強、補強」でパ・リーグを制した球団には負けてもらいたくなかった…というわけだ。半世紀以上阪神を愛してきた平林にとって「生え抜きの日本人選手が中心となる骨太のチーム作り」(秦雅夫オーナー発言)という現在の阪神の編成方針は誇らしく、この先もブレることなく、ソフトバンクとは一線を画したスタンスで日本一を勝ち取ってほしい思いがある。
理念や方針は一度ブレ始めると歯止めがきかなくなり、「挙党一致」が崩れる遠因になる。平林は藤川体制にはそうなってもらいたくないからこそ、低迷期の阪神が縋(すが)りがちだった雑駁な補強だけは、類いまれなリーダー藤川監督が頑として固辞してもらいたい…そう願っているようだ。
ところで冒頭のくだり。なぜ青森へ?平林にそう尋ねられたので「自分へのご褒美」と答えた。いい空気を吸って、土産話をまたここで。=敬称略=
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