レジェンドの目撃者
【11月19日】
『レジェンドの目撃者』に出演させてもらった。NHK(BS1)で17日にオンエアされた番組だが、今回のタイトルは「阪神を変えた男たち」。責任ディレクターから僕への依頼は…。
金本知憲について語ってほしい。現役時代のアニキとは…。カメラの回っていないところでシーズンオフの過ごし方についても聞かれた。
焦点は星野政権の03年。つまり、金本の阪神移籍1年目である。
オフの金本といえば…
毎日、トレーニング。ただただ、ウエートトレーニング。ちなみに補足すると…プロ野球選手のオフの代名詞、ゴルフもしなかった。参加するのは、どうしても断れない球団や選手会のコンペのみ。驚くほど徹底していた。
なぜ?と、当時本人に聞けば…
「半日とか一日潰れるから」
一日くらい…。傍らで見ているこっちはそう思ったりもしたけれど、金本がぎっしり書き込んでいた手帳を見れば合点がいった。そこにはトレーニングの計画がみっちり。その優先順位をひっくり返すことを嫌ったので、お気に入りのクラブもなかった。
そんなことを書いていると、まるでこのPCを盗み見していたかのように金本の師から電話が…。
トレーニングクラブ「アスリート」代表の平岡洋二である。このジムは金本や新井貴浩のトレーニング拠点としてご存じの方も多いと思う。
社長、いいところに!
11月から12月、1月…オフの金本さんって、当時休んでましたっけ?
「トレーニングのスケジュールに穴を開けるのは、東北福祉大のOB会くらいじゃなかったかな…。それ以外は基本的にはずっと(アスリートに)来とったよ。(現役時代は)旅行にも一回も行かなかったんじゃない?」
そう言われてみれば、当時金本から旅の土産話を聞いた覚えがない。
平岡は続ける。
「(アスリートに通う広島の)若い選手によく言って聞かせたんだよ。金本はお前たちの一番のお手本になるよって。ドラフト4位で、入った年は2軍スタートだったわけだから」
トレーニング指導者として第一線を退いた平岡は当時を懐かしんで言う。
「みんな目標を立てるけど、結局はやらないんだよ…。オフはどうしても遊びたいから、楽な方へ、楽しい方へ流れてしまう。で、1月になって、キャンプ直前に慌ててやり始める。結局、みんな後悔していたけどね…」
虎将藤川球児は秋季キャンプの打ち上げでこんなことを言っていた。
「ここにいる選手たちが来年かなりやれるという手応えは全くない状況ですね。なので、(春のキャンプで)3倍、4倍の別人が来たというふうな状態になってもらえればなと思います」
別人…。半端ないゲキだと思う。
そういえば、つい最近、阪神の選手から聞かれたことがある。
「金本さんって、オフはどんな感じだったんですか?」
ずっと一人だったよ…。「目撃者」としてそう伝えておいた。=敬称略=
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