育成が支配下を上回る時
【12月9日】
大竹耕太郎とゆっくり話をする機会があった。シーズン中はなかなか腰を据えるタイミングもないので有りがたい。西宮の落ち着いた雰囲気の場所で現役ドラフトの話題にもなった。
早いものでこの制度ができて4年目になる。年俸1億超えを果たした現ドラの星として羨望を向けられる大竹だけど、その前に気になることがあってちょっと調べてみると、ほぉ…。
当事者の大竹はもちろんそれを知っていた。これだからドラフトは分からない。そんな話である。
大竹が育成ドラフト4位でソフトバンクホークスに入団したのは17年のこと。この年のホークスの指名を思い返してみれば、清宮幸太郎、安田尚憲、馬場皐輔を競合で外し、結果として鶴岡東の逸材・吉住晴斗をいわゆる外れ外れ外れ1位で指名。2位以下を高橋礼、増田珠、椎野新、田浦文丸の順に支配下で5人獲得した。
その行く末は、吉住が21年に、椎野が23年にそれぞれ引退し、高橋礼と田浦がこのオフに構想を外れたことで、現状26年にNPBで現役を続けるのは増田(ヤクルト)のみになった。
翻って、着眼は同じく17年にホークスが指名した「育成ドラフト選手」である。育成5位の日暮矢麻人と同6位の渡邉雄大は引退したが、上位4選手は26年も現役をバリバリ続ける。その顔ぶれは皆さんご存じの通り。
来シーズンから先発に挑戦する尾形崇斗(育成1位)以下、周東佑京(同2位)、巨人へ移籍した砂川リチャード(同3位)、そして、阪神の3年間で32勝を挙げ2度の優勝に貢献した大竹耕太郎(同4位)。8年経って生き残ったのは育成が4人、支配下が1人…これぞ生存競争のドラマである。
さて、第4回の「現役ドラフト」をどう見るか。19年ドラフト2位の井上広大が去り、そして、18年ドラフト4位の浜田太貴がやってくる。彼らが25年の現ドラにどんな意義をもたせるのか、楽しみにしたい。
「僕が結果を残すことで、現役ドラフトで指名された選手たちがポジティブな気持ちで移籍してもらえたらいいかなと思っています」
大竹はそんなふうにも話していたが、ポジティブマインドのその先を彼に倣ってもらいたい思いがある。
先日、大竹と話をする中で京都の話題になった。僕にとって京都は大学時代を過ごした第2の故郷だから度々訪れるわけだけど、大竹は…
「白峯神宮へ行くんですよ」
堀川今出川を東へ入り…いや、知ったかぶりはできない。30年来の馴染み深い町なのに知らなかった。
「しらみねじんぐう」はスポーツの神様、球技の神様としてプロのアスリートからの信仰もあつい。大竹は由緒ある御宮に済々黌時代の修学旅行で訪れ、御守りを2つ買った。バッテリーを組む先輩に手渡すと、それが守護神となり、夢の甲子園出場を果たした。以来プロ入り後も京都へ行けば欠かさず御参りするという。彼の信仰心を倣え…という話ではない。続きは次回。=敬称略=
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