変人と呼ばれるくらいが

 【12月12日】

 湯浅京己と「LINEの返信」の話になったことがある。個性というか社会性の問題というか。早い、遅い、既読スルー、既読無視…悪気ないことを前提にしても三者三様だよねぇ…と。

 ちなみに湯浅は早いし、きっちりしている。お互いの知人で「誰が早いか遅いか」という話になったので、僕が飛びきり早い人の名を挙げると、湯浅は「そうなんですね」と驚いていた。

 その人とは、金本知憲である。

 まだスマホもLINEも無かった時代からずっと、メールも電話の折り返しも早かった。こちらとしてはすごく助かる…と同時に敬服もした。

 野球人である前に、社会人として、きちんとしているから。知人の多さを考えれば、アニキのケータイにはひっきりなしに連絡がくるだろうから、僕なんか暫く放置されても仕方ないと思うんだけど、気持ちいいほど早い。

 こんなことを書きながらふと思い出すのは、大竹耕太郎の発言だ。

 「野球選手って連絡遅いんで…」

 これは、今オフの自主トレメンバーについて虎番記者に囲まれたときに漏らしたもの。しばらく経ってこの真意を大竹本人に確かめてみると、「僕も昔は遅かったんで…」と笑っていた。

 この話、「昔は…」がミソなのだ。

 周囲に聞く限り、今の大竹は遅くない。では、昔と今では何が変わったのか。大竹と話している限り感じるのは昔より一層「感謝」を重んじるようになったから。そんな気がする。なんだそんなことか…と思われそうだけど、この差はでかい。師である和田毅から「感謝の大切さ」を教わった影響はあるだろうけれど、立派な人と一緒にいる者が必ずしも立派になるとは限らないわけで、結局は個のあり方。

 大竹にはあり難いものを素直に取り込む力が備わっている。「移籍して人間関係も教養や知識も2倍に増えていった」と言う通り、現役ドラフトをポジ思考で捉える彼を見ていると、吸収力も倍増したように感じる。

 かつてバラエティー番組で針のマットを踏むトレーニングや瞑想を紹介され、「変わっている人」とネタにされたりもしたけれど、この世界、結果を出した者が正解。年俸は3年間で6・5倍になったのだから、堂々と針を踏むべし。金本だって昔は重負荷のウエートトレーニングを「変」だと揶揄されていたが、いま笑う者はいない。

 大竹の学習意欲は針だけにとどまらない。このオフも早大の同窓で槍投げオリンピアンのディーン元気にトレーニングを教わるなど、挑戦を続ける。現役ドラフトの星になった大竹は後進に勇気を与える存在だけど、現ドラ戦士がみんな彼のようになれるかといえば、そんな甘い世界でもない。

 現ドラといえば、この日入団会見に臨んだ浜田太貴を僕は応援したい。

 「人見知りなので人と会話ができるか。その不安が一番」と語っていたけれど…ところで浜ちゃんはLINEの返信、早いのかな。まだ25歳。人間関係も教養も吸収はこれから。あいつ変やな…といわれるくらいがおもしろいかも。=敬称略=

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