虎で「野性的」な男は…

 【3月31日】

 センバツ優勝を決めた大阪桐蔭監督の西谷浩一には足繁く広島に通った時期がある。「こういう選手が欲しかった」。筆者が知る限り3~4度、惚れた鬼才の成長を見る為に訪れたのだ。

 名将のお目当ては、中学硬式「広島北ボーイズ」でその名を全国に轟かせていた内海竣太だった。アマ野球ファンにはお馴染み、内海3兄弟の末っ子だが、その竣太がこの日、智辯学園との決勝戦に3番ライトでフル出場し、2安打、2得点、1打点。七回に決勝の押し出し四球を選び、大阪桐蔭10度目の甲子園制覇に大きく貢献した。

 竣太の父・将人はかつて東芝の外野手として都市対抗で優勝するなど活躍した。長男はホンダ鈴鹿で、次男は明大でそれぞれ躍動…そんな野球一家だが、内海家で「最もポテンシャルが高い」と囁かれていたのが三男。広島の県内外から10校以上、スカウティングの打診を受けていた広島北ボーイズ監督の黒田竜朗に聞けば、言う。

 「幼い頃から見てきましたけど、3兄弟の中で群を抜いて野性的でした。打っても、走っても、跳んでも…何をやらせても凄かった。誘いは多かったですけど、本人は大阪桐蔭さんで野球をやるつもりで頑張っていましたね」

 黒田の指導キャリアでナンバーワンの快足。当て勘にも優れ、長打も打てる。西谷が抱いた竣太の桐蔭での成長イメージは「単打で出塁して、走って…3拍子揃った選手」だったという。

 甲子園で素晴らしいファイナルを満喫してから京セラドームで阪神対DeNAを取材した。そういえば、例えば両軍で「群を抜いて野性的な選手」って誰だろう。そんな視点でゲームを追えば、野性的な場面は何度かあった。六回の佐藤輝明の本塁へのヘッドスライディングもそうだし、筒香嘉智が2球目に本塁打を放った打席の初球、変化球をいきなりフルスイングしたシーンもそう見えた。それぞれの主砲の野性味を味わったわけだが、この日、個人的に楽しみだったのはショートでスタメン出場した木浪聖也のプレーだった。今季初スタメンで1安打、2四球、1得点。貴重な「繋ぎ」で3連勝に貢献したことは申し分なかったが、おそらく本人は満足していない。そう感じたので試合後に確かめてみた。

 「あそこで投手を助けられたら、それが一番いいことですから。そこをもっと突きつめてやっていきます」

 虎番の取材を終えた帰り際に直撃したのは七回の守備だ。蝦名達夫が放った二遊間へのゴロが内野安打になったシーン。6階の記者席から見る限り、センターへ抜けるような打球によく追いついたが、回転して一塁へ送球した軌道がわずかにそれた。木浪は言う。

 「あれをアウトにできるくらいにしたい。守る方はそこが大事。反省を踏まえて練習していきたいと思います」

 木浪聖也は元来「野性的」な選手だと僕は思っている。好き勝手に書けば本人に怒られるかもしれないが、がっつり「本性」を出してやれば、本来の木浪になる。「完全復活」を願うだけに、そう思っている。=敬称略=

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