オリックス25年ぶり優勝 パも下剋上!昨季最下位から! 中嶋監督3度宙舞った 

 年ぶりに優勝を決め胴上げされる中嶋監督(撮影・山口登)
 会見に笑顔で応じる中嶋監督
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 オリックスが25年ぶり、13度目のリーグ優勝を果たした。27日、2位・ロッテが楽天に敗れ、確定した。25日に全日程を終えていたため、この日は中嶋聡監督(52)以下、ナイン、スタッフらが京セラドーム大阪に集結し、仙台の戦いを見届けた。前日、セ・リーグ優勝を決めたヤクルトと合わせ、両リーグが前年最下位からの下克上Vという史上初の快挙。オリックスは来月10日からのCSファイナルステージに向かい、日本シリーズ進出を狙う。

 無観客の京セラドームで中嶋監督は選手たちの手で3度、宙に舞った。

 2年連続最下位からの大回復。1年を振り返り「こんなにしんどいんだなと思った」と話した。昨季途中の監督代行から就任。球団からは「育成と勝利」の両立を託された。大補強はないが焦りはなかった。

 打線は6年目の吉田正、投手陣は5年目の山本。大きな軸はある。まわりをどう固めるか。まず、抜群のパワーがありながら確実性に欠けた杉本は毎試合4打席立たせた。長年の課題だった三塁とセンター。三塁には遊撃手として失格の烙印を押され外野手だった宗を2軍監督時代に準備させていた。センターは開幕時は俊足の佐野皓を充てたが同時に外野転向の福田を2軍に行かせて試合経験を積ませた。すべてが5月に一気に開花した。交流戦優勝。その勢いを駆って走り抜けた。

 限られた戦力。使い切るために大胆に体調には細心の注意を払った。名手・安達の二塁コンバート、2年目・紅林の遊撃手抜てきもそう。

 「安達に少しでも負担を掛けない方が最後まで持つ」

 潰瘍性大腸炎の持病を考慮、週2試合の欠場を基本とした。休養のため主力が出られないからといって負けるつもりはなかった。

 スタメンはトラックマンなどハイテクを駆使したデータ班からのデータとスコアラーの情報、そして選手の調子を見た自分の目を合わせて決めた。相性は度外視。相手投手の投球タイプに合う打ち方の選手を並べた。チーム打率はリーグトップになった。

 投手起用は高山投手コーチと二人三脚で1年間トータルでどう戦うかを念頭に置いた。リリーフには3日連投を厳禁とし、守護神・平野佳でも連投すればベンチ入りから外した。

 代わりに漆原、K-鈴木、富山、張奕らを大事な場面で試した。戦力を見極める一方で、1軍の試合に投げる中で、各自に足りない部分を考えさせた。

 先発投手には10月に入っても田嶋、宮城らのローテ投手に10日以上の間隔を空けさせた。勝てる確率の高い投手から使っていきたいところ。他球団が総動員でつぎ込む時期でも方針を変えることはなかった。根底にあるのは“選手ファースト”の思いだ。目の前の勝利のために、無理はさせない。勝敗の責任は自分が負えばいい。

 シーズン終盤はロッテとのデッドヒート。

 「誰もが苦しかったと思う。打てない、体が動かない。いろんなことが起こっていたと思う。その中でもしがみついてきた。頑張りましたよね」

 選手と一緒になって戦った1年。宙に舞った瞬間、すべてが報われた。

 ◆中嶋 聡(なかじま・さとし)1969年3月27日生まれ、52歳。秋田県出身。現役時代は右投げ右打ちの捕手。鷹巣農林から86年度ドラフト3位で阪急(現オリックス)入団。98年にFAで西武移籍後、2003年に横浜(現DeNA)、04年に日本ハム移籍。07年からコーチ兼任で15年現役引退。ベストナイン・ゴールデングラブ賞各1回。実働29年はプロ野球タイ記録。通算成績は1550試合、804安打、55本塁打、349打点、打率.232。18年日本ハム1軍バッテリー兼作戦コーチから19年にオリックス2軍監督。20年8月からの1軍監督代行を経て、今季1軍監督就任。

 ◆前年最下位からの優勝球団 セ、パ同時に前年最下位球団がリーグ優勝した例は過去になく、今回のヤクルトとオリックスが史上初となった。過去のセ球団では1960年の大洋、75年の広島、76年の巨人、2015年のヤクルト。パ球団は01年の近鉄が最下位からの優勝を実現させている。

 ◆結果待ちV5度目 今回のオリックスのように全日程を終了し相手の結果を待ってリーグ優勝を決めたケースは今回で5度目。過去4度は1966年・南海、73年後期・南海、77年後期・ロッテ、88年・西武。

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