オリックス・ラオウ V呼んだ三十路の覚醒 過去5年9本塁打の男がキング32発

 記念撮影でVサインする杉本(中央)らオリックスナイン(撮影・山口登)
 スイング改造が奏功し30歳で花開いた杉本
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 オリックスが25年ぶり、13度目のリーグ優勝を果たした。27日、2位・ロッテが楽天に敗れ、確定した。25日に全日程を終えていたため、この日は中嶋聡監督(52)以下、ナイン、スタッフらが京セラドーム大阪に集結し、仙台の戦いを見届けた。前日、セ・リーグ優勝を決めたヤクルトと合わせ、両リーグが前年最下位からの下克上Vという史上初の快挙。オリックスは来月10日からのCSファイナルステージに向かい、日本シリーズ進出を狙う。

 ラオウの笑顔は、誰よりも光っていた。プロ6年目の杉本にとっては特別な1年だった。過去5年で9本塁打の男が、32本塁打で本塁打王争いを繰り広げた。30歳にしての覚醒には人生を賭けた挑戦があった。

 類いまれなるパワーを持ちながら確実性の低さから1、2軍をいったり来たり。3年前、瓜野ブルペン捕手から「面白い人がいる」と紹介してもらったのが、米国3Aでプレーした根鈴雄次氏。そこで目から鱗(うろこ)の打撃方法を教わった。

 一見すると、極端なアッパースイングに見える。ボールの下をたたき、スピンをかけて飛ばすという日本球界で主流だった打ち方とは真逆の方法。これだ!と教えを請うた。

 「ボールの軌道に合わせてバットを入れるレベルスイングです。捕手のミットに収まるギリギリのところまで引きつけて打つ」

 周囲からは異論もあったが、課題のドアスイングを改善しなければ、プロで生きていけないことは分かっていた。貫くことに決めた。幸いだったのは当時、2軍でも遠征メンバーから外れるなど主力ではなかったこと。舞洲に残り、一人で新たな打撃に向き合った。なかなかうまくいかない。それでも諦めず、スイングを繰り返した。

 今季、取り組みが身についてきた。右方向への9本の本塁打がその証しだ。

 「ようやく、ちょっとできてきました」

 笑顔を見せた。今季は右手を突き上げる昇天ポーズと笑顔がトレードマークになった。

 10月は好きな月ではないと言う。

 「毎年、この時期は電話が鳴るとびくびくしてました。いつクビになってもおかしくないと思っていたんで」

 今年から印象は変わるだろう。優勝、歓喜の瞬間を味わった月。大好きな月の一つになるだろう。

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