イチロー氏が120メートル弾披露!進学校・大分舞鶴高に指導
米大リーグのマリナーズなどで活躍したイチロー氏(53)=現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター=が8日、大分県大分市の大分舞鶴高を訪れ、同校野球部を指導した。この日が2日目だった。高校生への指導は2020年から7年連続となった。
大分舞鶴は県内有数の進学校ながら、勝つこと、夏の甲子園を真剣に目指している。今回の指導は、3年生と保護者の方から手紙を受け取ったことがきっかけだった。
手紙送った保護者は、2006年のWBC直前の1月、神戸の練習場で数日間打撃投手を務めた。息子は3年生と1年生で同部に在籍している。「野球に関わっていてくれたからできる再会」という縁も、今回イチロー氏の心が動いた理由の一つだという。
大分舞鶴は昨夏の大分大会決勝で明豊に敗れ、甲子園にあと一歩及ばず。今夏は県大会準決勝で敗退した。3年生の手紙には「あと一歩が足りない。イチローさんから教わりたい」といった内容が書かれていたという。
イチロー氏は1日目の練習開始前に「舞鶴高校は、文武両道。どっちもやる。どちらかというと、勉強の方を頑張らないといけない。時間的にも。そこでもがいているのが伝わってきた。平日2時間、休日で4時間という時間の制限もあるということで」と話した。続けて、「だから、今日明日、他の学校でやっていることをやってしまうと、それだけで時間がつぶれてしまう。走り方とか細かいことをやり出すと、キリがないから省こうと思う」と説明。アップの後まずはキャッチボールの指導から始まった。
1人の部員をキャッチボール相手に指名。自ら全身を大きく使って30メートルほどの距離で山なりに投げるキャッチボールを何度も繰り返した。その後、いったん選手を集めて「キャッチボールのクオリティーを上げてもらいたい。本当に野球の基本なんで」と呼びかけた。「ライバル(の学校)よりも同じ時間で倍をやるという。それはいいんだけど、あくまでも形をつくった上でやるのが前提」とただ数をこなそうとしている点を指摘。「高いクオリティーでやるためには、肩甲骨、胸骨、肋骨(ろっこつ)とかが動かないとできない。(イチロー氏のボールが)落ちてこない理由はそこにある。腕で投げたらいずれはバテてくる」と指導した。
その後内外野に分かれノックを開始。イチロー氏は外野手に混ざり、時折捕球を実演した。練習途中には「甲子園のタイブレーク制度はどう?」と外野手の部員たちと雑談。「甲子園はずっとやりたいよね。突然、ランナー一、二塁になって、ゲームが変わるのは気持ち悪い。甲子園はメンバーを増やして補って、最後までやってほしいというのが僕の考えなんだけどね」などと話した。さらに、「甲子園は暑いから京セラっていうのも、ふざけるなって思うよね。甲子園を目指したいと思うよね」と近年変わりつつある高校野球について意見を交わしていた。
打撃練習では「ここ一番、この1本で苦労している」と悩んでいる部員たちに、胸を指さしながら「こっちの話だよね。技術と言うよりも」と語りかけた。トスバッティングでは「重要なのは、股関節が入っていくイメージ。体の前で振るイメージをつくってください。インパクトのところで、顔、目の位置を残しておくこと」などと指導を続けた。
フリー打撃では豪快弾を放った。11スイング目に、右中間の高さ15メートルの防球ネットを隔てた先にある体育館の屋根に到達する約120メートル弾を披露。「(もう一度、屋根への打球を)目指したい」と息を切らしながらもバットを振り続けた。部員から応援の声も上がる中、103スイング目にネット上段への打球を放ち、終了。103スイングでホームラン性の打球は11だった。
その後は質疑応答の時間もあり、指導が終了。12時半頃から約3時間だった。この日は何度か、イチロー氏が投げかけた質問に対し、誰からも返答がなく静まりかえる場面があった。イチロー氏は「(事前にイチロー氏の練習などを)予習してきてやってるのがよく見えたし、能力も高い」と称賛した上で、「マジメオーラがすごい(笑)。不真面目になれとは言わないけど。野球と、勉強するときは、スイッチ切り替えていい」と助言を送った。
