広島・中村奨成 護摩行2年連続の参加明言 背水来季へ「秋山さん、野間さんを押しのけてやるぐらいでないと」
立ち向かう-。広島の中村奨成外野手(25)が29日、来年1月に自身2年連続2度目となる護摩行に参加することを明らかにし、精神面を磨き直す心意気を示した。この日は母校・広陵で行われた同校OBのプロ野球選手が集う野球教室に参加。恩師・中井哲之監督(62)からは気合を注入され、決意を新たにした。
燃えさかる火柱の前で己と向き合う。初参加の護摩行から約1年。来年1月に再び荒行を行うことを決心した中村奨は「やったから野球がうまくなるかと言われれば、そうではないけど、まずは1年間野球に入っていけるようなところをつくっていきたい。続けていって自分が変わるきっかけになればいいかなと思う」と言葉に力を込めた。
護摩行は400度以上の火柱の前で経を唱え続ける修行。「しんどいことからもう逃げたくない」という決意の下、今年1月に会沢、堂林らと鹿児島市内にある最福寺に向かった。「しんどかったし、死ぬんじゃないかと思った」。直後は顔が真っ赤になり、声はガラガラ。想像を絶する熱さを経験してもなお、「来年しっかり結果を出さないといけない。精神的に強くなれるように来年も参加します」と覚悟は変わらなかった。
高卒7年目の今季は捕手から外野に本格転向し、30試合に出場して打率・145、0本塁打、1打点だった。ファームでは安定した成績を残す一方で1軍の舞台では力を発揮できなかった点を反省し、秋季キャンプでは猛練習の末、バットでアピール。実戦で快音を重ね、「自分の中であの1カ月半は『これやれば、こうなるな』という感覚がちょっと分かった感じもあった。それを(今は)反復してやっている」と手応えと充実感を漂わせる。
新井監督はレギュラー争いの「横一線」を強調し、奪う立場の者にとっては追い風が吹いているといえる状況。田村、末包、宇草らとの競争に中村奨も「1枠を狙いにいくというよりは秋山さん、野間さんを押しのけてやるぐらいでないと、競争を勝ち上がっていく上で難しくなってくると思う」と血気盛んだ。
この日は母校・広陵OBのプロ野球選手14人が集まった同校での野球教室に参加。恩師の中井哲之監督からは「とにかく謙虚にやりなさい」とゲキを飛ばされ、「ここに来れば背筋も伸びるし、身が引き締まる。良い年の越し方ができると思う」と決意を新たにした。来季は背水で臨む勝負の年。殻を突き破るため、まずは精神面で限界を突破する。