広島・辻 満点デビューMAX151キロ すごいぞ!支配下登録から6日目 1回2K無失点

 8回、プロ初登板で1回無失点と好投した辻(撮影・市尻達拡)
 8回、プロ初登板を無失点で終え、充実感をにじませる辻(撮影・市尻達拡)
 8回、プロ初登板で1回無失点と好投した辻(撮影・市尻達拡)
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 「広島0-6中日」(2日、マツダスタジアム)

 “圧投”デビューじゃ!広島の辻大雅投手(20)が6点ビハインドの八回にプロ初登板。自己最速を更新する151キロを計測するなど、1回を無安打2奪三振無失点の快投を披露した。7月28日に支配下選手登録されたばかりの3年目左腕。チームが完敗を喫した中で、希望の星となった。

 最高の投げっぷりで鯉党のハートをがっちりつかんだ。憧れていたマツダスタジアムのマウンドで辻が腕を振る。「めちゃくちゃ緊張したんですけど、今までやってきたことが全部出せたかなと思います」。駆け足でマウンドを降りる背中に、この日一番の拍手が注がれた。

 6点ビハインドの八回だ。完敗ムード漂う場内に「ピッチャー・辻」がコールされた。「グラウンドに入った時は緊張して何も聞こえなかった」と苦笑い。ド緊張の20歳がここから想像以上の投球を披露した。

 先頭チェイビスへの初球。「一番自信のある球で最初はいってやろうと思っていた」と148キロの直球で空振りを奪う。2球で追い込むと、最後は127キロのチェンジアップで空振り三振。続く山本への初球に自己最速を更新する151キロを計測すると、こちらもチェンジアップでバットに空を切らせ、2者連続の3球三振を奪った。

 最後は加藤匠を150キロで右飛に打ち取り、堂々の三者凡退デビュー。「アドレナリンも出ていた。球速を狙うというよりは全力で腕を振った。いい結果が出てよかった」と胸をなで下ろした。

 22年度育成ドラフト3位で入団するも、目立った成績を残せず迎えた3年目の今季。野村3軍投手コーチ兼アナリストとの出会いが左腕の運命を変えた。春先にフォームの指導を受け、平均130キロ台だった直球が10キロ以上アップ。2軍で16試合連続無失点をマークするなどアピールを続け、7月28日に支配下登録をつかみ取った。

 そんな師匠への感謝をグラウンドで表現した。登場曲に野村コーチが現役時代に使用していたMr.Childrenの「皮膚呼吸」をチョイス。「教えてもらったことが全てうまくいって今につながっている。祐輔さんにお世話になったので、この曲にすると決めていました」と照れくさそうに笑った。

 登板後、ベンチでは新井監督と固い握手。指揮官は「良いスタートが切れて自分もうれしい。全てのことをいい勉強だと思ってやっていってほしい」と1軍での成長に期待を寄せた。

 「まだまだですけど、満足せず今まで以上に良いものを出していきたいです」とさらなるアピールを誓った辻。怖いもの知らずの若鯉が、貴重な経験を積み重ねていく。

 ◇辻 大雅(つじ・たいが)2004年8月29日生まれ。20歳。神奈川県出身。182センチ、84キロ。左投げ左打ち。投手。二松学舎大付高から22年度育成ドラフト3位で広島入団。25年7月8日のウエスタン・阪神戦で2軍初勝利を挙げ、今季2軍での成績は23試合1勝1敗1S、防御率3・80(8月1日現在)。7月28日に支配下登録された。

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