【選手権100回大会企画21】静岡の高校野球
静岡県勢は、春夏通算5回の甲子園優勝を誇る。内訳は春4回に対して夏1回。夏は1926年の第12回大会で静岡中(現静岡)が優勝して以降、準優勝が6回。目前で全国制覇を逃してきた。
地元では「静高(しずこう)」の相性で親しまれている静岡は、初優勝後に2度、決勝へ進んでいる。最も惜しかったのは、73年の第55回大会だった。
木製バットで高校通算36本塁打を放った植松精一(元阪神)が主砲。「投の江川、打の植松」と称された怪物を中心に勝ち上がると、決勝では達川光男(元広島)擁する広島商と対戦した。
八回に同点に追いついたが、九回にスリーバントスクイズを決められてサヨナラ負け。スタンドを埋めた1試合歴代最多の観衆5万8000人からのため息と歓声に包まれた。
静岡のライバル校で「静商(せいしょう)」と呼ばれる静岡商も、2度の準優勝経験を持つ。68年の第50回大会はあと一歩だった。1年生エース・新浦壽夫(元巨人など)、藤波行雄(元中日)が奮闘したが、決勝で興国に0-1で惜敗した。
浜松商は75年の第57回大会2回戦・石川戦で、高林基久が史上初の逆転サヨナラ弾となる2ランを放ち、初めて夏の甲子園で2回戦を突破した。
その後、平成に入るまでは静岡や、センバツ優勝経験を持つ静岡商、浜松商が静岡の高校野球をリードした。
しかし、平成以降は“戦国時代”となる。2年連続出場したのは、常葉学園菊川(現常葉大菊川)、常葉学園橘(現常葉大橘)、静岡のみ。その中でも常葉学園菊川は存在感を示している。
2007年センバツで、左腕エース・田中健二朗(DeNA)を擁して優勝。1978年の浜松商以来29年ぶりに静岡に優勝旗をもたらした。
同年夏の第89回大会は3回戦・日南学園戦で3点差を追いついて九回にサヨナラ勝ち。勢いに乗って4強へ進出した。
翌08年の第90回大会も準々決勝・智弁和歌山戦で、両チーム合計30安打の乱打戦を制して準優勝。静岡の高校野球をけん引する存在となった。
また、1950年のセンバツで初出場初優勝を果たした韮山は、95年の第77回大会で初出場している。1回戦・田辺戦で12点を奪う大勝を見せたが、45年前の再現とはならず3回戦敗退。この大会以降、甲子園から遠ざかっている。
掛川西は64年の第46回大会1回戦・八代東戦で、夏の甲子園では3回しかない延長十八引き分け再試合を戦っている。
◆静岡県勢の夏の甲子園アラカルト
【出場回数ベスト5】
1位・静岡24回
2位・静岡商9回
2位・浜松商9回
4位・東海大静岡翔洋6回
5位・常葉大菊川5回
5位・掛川西5回
【勝利数ベスト5】
1位・静岡22勝勝
2位・静岡商17勝
3位・浜松商11勝
4位・東海大静岡翔洋8勝
4位・常葉大菊川8勝
【最高成績】
優勝・静岡(1926年)
【通算成績】
168試合
85勝82敗1分
勝率・509
【主な監督】
鷲野満之助…静岡商の元監督。春夏通算4回の甲子園に出場し、1952年センバツで優勝。54年の第36回大会で準優勝。通算8勝3敗。
野島譲…静岡の元監督。春夏通算5回の甲子園に出場し、73年夏は準優勝へ導いた。
磯部修三…浜松商、常葉学園菊川の元監督。78年センバツで浜松商を優勝へ導いた。
森下知幸…浜松商、日大三島、常葉学園菊川の監督を歴任。春夏通算8回の甲子園に出場し、2007年センバツで優勝。
◆デイリー独断!静岡の高校を卒業したプロ野球選手ベストナイン
【先発】静岡商・池谷公二郎(元広島)
【中継ぎ】静岡・増井浩俊(オリックス)
【抑え】静岡・赤堀元之(元近鉄)
【捕手】自動車工(現静岡北)・袴田英利(元ロッテ)
【一塁手】静岡商・杉山光平(元南海)
【二塁手】静岡商・大石大二郎(元近鉄)
【三塁手】清水東・山下大輔(元大洋)
【遊撃手】富士宮北・広瀬哲朗(元日本ハム)
【外野手】東海大一・内田順三(元広島)、静岡商・藤波行雄(元中日)、自動車工・長嶋清幸(元阪神)
【指名打者】浜松商・榊原良行(元日本ハム)
(ポジションはプロでの登録守備位置、所属は現役の最終所属)