【選手権100回大会企画46】鹿児島の高校野球

 鹿児島県の高校野球は、1970年代から鹿児島実と樟南(旧鹿児島商工)の2強時代が長く続いた。

 鹿児島実が先に聖地を沸かせた。74年の第56回大会で、エース・定岡正二(元巨人)が初戦から2試合連続完封。あまいマスクもあって注目も集めた。

 準々決勝は、原貢監督と1年生・原辰徳(元巨人)の親子鷹で勝ち上がってきた東海大相模と対戦。定岡が勝利目前の九回2死から1点差を追いつかれたが、延長十五回に勝ち越した。

 定岡は15回を8安打18三振。213球を投げ抜き、県勢初の4強へ導いた。翌日の準決勝・防府商戦も先発したが、3回で降板。チームは九回サヨナラ負けで聖地を去ったが、「鹿実」を全国に印象づけた。

 90年は主砲・内之倉隆志(元ダイエー)を擁して、春夏連続で8強入りした。内之倉は第72回大会3回戦・松山商戦で七回に逆転3ランを放つなど、4試合4本塁打。印象的な活躍を見せた。

 その後、96年センバツで県勢唯一の甲子園優勝を達成した。

 さらに98年の第80回大会ではエース・杉内俊哉(巨人)が1回戦・八戸工大一戦でノーヒットノーランを達成。敗れはしたが、2回戦・横浜戦での松坂大輔(中日)との投げ合いは注目を集めた。

 対する樟南は、鹿児島商工だった84年の第66回大会、85年の第67回大会で2年連続8強へ進出した。

 84年は優勝した取手二に敗れ、85年も準優勝した宇部商に敗戦。惜しい戦いが続いていた。

 樟南として初めて甲子園に出場した94年の第76回大会で快進撃を見せた。

 エース・福岡真一郎と、田村恵(元広島)のバッテリーを中心に、県勢初の決勝進出を果たした。

 決勝は佐賀商と対戦。2度のリードを奪ったが、同点に追いつかれると、九回2死で満塁本塁打を被弾。福岡は5試合616球を投げたが、優勝旗には手が届かなかった。

 99年の第81回大会では上野弘文(元広島)と、鶴岡慎也(日本ハム)のバッテリーで4強へ進出している。

 2校はしのぎを削り続ける中、他校も存在感は示している。

 27年の第13回大会で県勢として初出場した鹿児島商は、86年の第68回大会で同校最高成績となる4強へ進出。準々決勝・東洋大姫路戦は、長谷川滋利(元オリックスなど)を終盤に攻略した。

 06年は県勢の県立校として、53年ぶりに出場した鹿児島工が4強へ進んだ。榎下陽大(日本ハム)の好投や、打席に入って大声で叫ぶ代打・今吉晃一の活躍で旋風を巻き起こした。

 また、14年には大隅半島から初出場した鹿屋中央が1回戦・市和歌山戦で延長十二回サヨナラ勝ちしている。

 05年センバツで初出場準優勝を果たした神村学園は、夏の甲子園では結果が残せていないが、17年の第99回大会2回戦で京都成章に九回サヨナラ勝ちし、5年ぶりの勝利を挙げている。

 ◆鹿児島県勢の夏の甲子園アラカルト

【出場回数ベスト5】

1位・樟南19回

2位・鹿児島実18回

3位・鹿児島商13回

4位・神村学園4回

4位・鹿児島玉龍4回

【勝利数ベスト5】

1位・樟南24勝

2位・鹿児島実18勝

3位・鹿児島商14勝

4位・鹿児島工3勝

4位・神村学園3勝

【最高成績】

準優勝・樟南(1994年)

【通算成績】

132試合

66勝66敗

勝率・500

【主な監督】

 久保克之…鹿児島実の元監督。春夏通算19回の甲子園に出場し、通算26勝18敗。96年センバツで春夏通じて県勢唯一の甲子園優勝を果たした。

 枦山智博…樟南(旧鹿児島商工)の元監督。春夏通算23回の甲子園に出場し、通算26勝23敗。94年の第76回大会で準優勝へ導いた。

 ◆デイリー独断!鹿児島の高校を卒業したプロ野球選手ベストナイン

【先発】出水・外木場義郎(元広島)

【中継ぎ】鹿児島実・杉内俊哉(巨人)

【抑え】鹿児島実・定岡正二(元巨人)

【捕手】樟南・鶴岡慎也(日本ハム)

【一塁手】鹿屋中央・松山竜平(広島)

【二塁手】鹿児島実・本多雄一(ソフトバンク)

【三塁手】鹿児島実・定岡智秋(元南海)

【遊撃手】鹿児島工・川崎宗則(ソフトバンク)

【外野手】鹿屋中央・亀山努(元阪神)、鹿児島商・井上一樹(元中日)、樟南・前田大和(DeNA)

【指名打者】鹿児島・黒江透修(元巨人)

(ポジションはプロでの登録守備位置、所属は現役の最終所属)

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