八戸学院光星・中沢恒貴との一枚の写真 甲子園での縁とは
「全国高校野球選手権・2回戦、八戸学院光星7-0ノースアジア大明桜」(12日、甲子園球場)
この第1試合を見たかった理由に、八戸学院光星のショート・中沢恒貴主将の存在がありました。試合では五回のセンターオーバーのタイムリーや、堅実な守備でも勝利に貢献しましたね。
話は昨年の夏にさかのぼります。SNSで僕にメッセージが届きました。「初めまして」のあいさつに始まり「学童野球を10年以上指導している者で、いつもテレビを楽しく拝見しています」といった流れから「実は4年前にうちの息子がかみじょうさんと甲子園で写真を撮っていただきました」と、写真を添付してくださって。
確かに写っていたのは僕で、その横にいたのが当時中学1年の中沢君でした。メッセージの送り主は、中沢君のお父さん。「今から、息子が聖地に向かいます」と書かれていて。昨夏も八戸学院光星は出場していて、中沢君は2年生ながらメンバーでした。
その写真の時、中沢君は出身の東京からわざわざ「将来はここに出るんだ」と高校野球を見に来ていたそうです。高校で東京を離れて、実際に中学1年の時の思いをかなえたわけですから、すごいですよ。
お父さんとはこの日アルプスで会えました。中沢君は青森大会の準決勝で左肩を負傷して、決勝はテーピングをグルグル巻きにして痛み止めも飲んでいたぐらいで、バットも振れていなかったとか。お父さんも心配されていたところ「『全然大丈夫。万全やで』と言っていたから、やってくれると思っていたんで」と言われてました。実際に一本出て、良かったですよね。
お父さんは「高校に行って人間的な成長がうれしい」と話されていて。周囲への気配りや配慮などで、他の、特にメンバーに入っていない選手の親の方から「恒貴君は優しい」といった声をよく聞くようになったそうです。150人近い部員数で、年末年始以外帰省も許されない、野球漬けの毎日。そういった中で「一緒に苦労してきた同志として仲間のつらさや悔しさをしっかり認識できるようになった。良い野球人になりました」と喜ばれていました。
実際、U18日本代表候補にも入る選手で、先輩には巨人の坂本選手もいますが、僕は打席での雰囲気がヤクルトの山田選手みたいだなとも思って。個人的なことになりますが、広島の小園選手やDeNAの松尾選手も、プロ入り前に僕と写真を撮ったことがあったらしく、後々それを知りました。お父さんは「本人ががんばるならどの道に進もうが一生懸命応援するだけです」と言われていましたが、僕としても縁のある選手ですので、中沢君のこの大会でのプレーはもちろん、将来も楽しみに見ていきたいと思います。
◆かみじょうたけし(本名・上条剛志)1977年12月31日生まれ。兵庫県淡路市出身。龍谷大卒。身長170センチ、50キロ。高校野球大好き芸人として知られる。趣味・特技は競輪予想、モノマネ。