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ロッテvs台湾ラミゴ 実現の裏に日本人スタッフ

 今季、2年ぶり10回目の優勝を果たしたラミゴモンキーズ。そのラミゴが本拠地とする台湾桃園国際棒球場で11月10日から3日間、『アジアプロ野球チャンピオンシップ強化試合』が開催される(台湾では『亜冠熱身賽台日桃園争覇戦』と表現されている)。台湾代表の相手となるのは日本の千葉ロッテ。日本のチームが単独で他国の練習相手を務めるのも異例なら、現地に赴くのも異例。また選手も2軍ではなく、鈴木大地、清田、角中ら主力クラスも参戦。井口新監督が初采配を振るうという点でも、関心を持たれている。

 この強化試合の実現の裏に、ひとりの日本人スタッフの存在がある。ラミゴモンキーズのフロント業務に携わるで礒江厚綺氏(27歳)だ。

 「ラミゴと千葉ロッテさんは、以前から交流を持っています。2014年には桃園に招き、初の交流試合を実施しました。今回、その第2弾として招くプランを春から進めていたところ、アジアプロ野球チャンピオンシップが開催されることが決定。代表監督の洪一中監督や主力選手にもラミゴから出る選手が多いため“それなら球界発展のためにも、今回はラミゴとの試合ではなく、台湾代表対千葉ロッテで実現しよう”という流れになったんです」

 千葉ロッテとラミゴは、オフの親善試合だけの繋がりではない。15年、16年には石垣島の春季キャンプに千葉ロッテ側がラミゴを招き、交流試合も行っている。文字通り相互交流を重ねている、数少ない球団同士だ。そうした橋渡し役としての立場もあり、今回は球団職員の立場ながらも、代表の強化試合実現に尽力しているというわけだ。

 「尽力なんておこがましいです(苦笑)。ただ自分の力は小さなものですが、結果、少しでも役に立てれば。そして台湾球界が日本など他国の球界とのパイプを太くし、発展の一助になるなら、これ以上嬉しいことはありません」 

 礒江氏の肩書きは『ラミゴモンキーズ 球団部』。日本では馴染みのない部署だが、主にはマーケティング部門の仕事に就いているという。ただ彼の場合はそれに留まらず、秋季キャンプへのラミゴ選手の派遣など球団の日本に関係する業務やイベント等の企画立案、球団の日本語オフィシャルページの管理、果てはビジターではトランペットを吹き、応援団をリードもしているという。 

 近年、ラミゴの実力は他を圧倒するものがある。無論、勝つことで集客は高まっているとはいえ、ラミゴの応援が千葉ロッテのスタイル(あのジャンプ!)を取り入れていることや、日本のタレントを招いてのイベントなど、野球ファンもそうでない人達も楽しめる工夫で、より一層の集客力向上に、礒江氏の努力とフットワークが一役買っていることに違いはない。

 礒江氏は東京・東村山生まれ。地縁から西武ライオンズの大ファンとして育ち、スタジアムにも足繁く通った。

 高校3年生のとき。西武が日本一となり、オフに当時開催されていたアジアシリーズに出場。礒江氏も当然のごとく東京ドームに観戦に行った。そのとき、台湾・統一ライオンズ対中国天津ライオンズの試合も観戦。そこで台湾野球と、応援に駆けつけていた台湾人ファンたちの温かさに、心惹かれたという。

 「プレー自体は、日本に比べたら粗っぽいかも知れないけれど、パワフルで積極的。そしてなりより選手と台湾人ファンの距離の近さに驚いた。そのファンの応援もユニークだったし。日本ではたくさん試合も見ていましたが、それとはちがう“わくわく感”を感じたんです」 

 彼にとっては、そんな出会いがひとつの“契機”になった。進学した大学では中国語を専攻し、1年生の5月に初めて台湾に旅行し、現地でプロ野球を観戦した。それがラミゴ前身である、ラニュー・ベアーズの試合だった。 

 「そこでもチーム関係者の方たちに親切にして貰い、はまってしまった(笑)」 

 わずか3泊の小旅行だったが、当時の礒江青年には、十分すぎるほどのインパクトを与えたようだ。以後、数ヶ月に1度のペースで野球観戦のために台湾に行く生活が始まる。大学3年時には交換留学生で台湾に行けるチャンスを知ると、勇んで応募。台湾のプロ野球組織であるCPBLのスタッフとも親しくなり、通訳ボランティアなどでファンの立場から、一歩踏み込み、関わるようになる。その後も、数多くの国際大会で通訳や業務スタッフに加わるようになり、昨年5月、ラミゴから正式入社の誘いが来た。

 「気がつけば、ここにいる、みたいな感じですね(笑)。なんでここまではまってしまったのか。自分でもうまく表現できないんですが。ただ台湾に住むようになり、こっちのひとたちの人情味に取り憑かれたとでもいうか。不思議な魅力があるんです、台湾の人達の親しみやすさって」 野球が好きで、野球を通じて知り、出逢えた台湾という場所と人々。そしてその、彼のいう人情味が、彼に“居場所”を与えてもくれた。台湾プロ野球という仕事の。

 「台湾野球は、技術も日本には劣るかも知れない。でもがむしゃらにやる、そんなひたむきさには惹かれます。だからこそ応援したい気持ちにもなり、サポートしたいという気持ちにもさせるんです」 

 彼のポジションは、チームを、台湾球界を内外にPRしていくこと。今後は東京五輪まで、いくらでもそのチャンスは巡ってくる。

 「また桃園という場所は、国際空港からも近い立地条件にあるので、日本からの観光客の方たちにも、球場にお越し戴きたい。そんなアピールもしていきたいと思っています」 空港からは桃園メトロという電車で、球場まで一本で行くことが出来るようになった。また球場では大型の荷物も一時預かりしてくれるサービスもあるのだという。 「なので、空港から直接、来て戴いて観戦することも、逆に試合を見てから空港に行かれることもスムーズになったんです」 

 とりわけ台湾球界でも人気、実力がトップのラミゴ。礒江氏の仕事と可能性は、まだまだ広がる。「やり甲斐ある仕事で、ほんと楽しみです」。彼の活躍もまた、楽しみだ。

 なお『アジアプロ野球チャンピオンシップ強化試合』は11月10日(金)18:35/11月11日(土)17:05/11月12日(日)17:05で、いずれも台湾時間。日本でも『パ・リーグTV』で放送予定。(スポーツライター・木村公一)

 日本語による球団のオフィシャルツイッターはhttps://twitter.com/lamigojapan フェイスブックはhttps://www.facebook.com/LamigoMonkeysJapan

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