元横綱北尾光司さん 両脚切断の危機、自殺未遂…知られざる闘病生活を妻が初告白
今年2月10日に慢性腎不全のため死去した大相撲元横綱・双羽黒の北尾光司さん(享年55)の妻・淑恵さんが、28日放送のTBS「爆報!THEフライデー」に出演。長らく表舞台に出ることなく、突然の訃報が伝えられた北尾さんの知られざる闘病生活を初告白した。
北尾さんは立浪部屋に入門し、15歳の79年春場所に初土俵を踏んだ。日本人離れした199センチの長身と抜群の相撲センスで番付を駆け上がった。86年に優勝経験がないまま、22歳で横綱に昇進。しこ名を「双羽黒」に改名したが、昇進後は不振に苦しんだ。87年12月下旬に立浪親方(元関脇羽黒山)と対立して失踪騒動を起こし、同年大みそかに電撃引退。優勝なしのまま、24歳の若さで角界を去ることとなった。
淑恵さんは医大進学を目指して浪人中に北尾さんのファンとなった。小結時代にバレンタインデーのプレゼントを渡したことで交際をスタート。廃業直後にプロポーズされ、「今こそ支える時」と決断して結婚した。実際に、スポーツ冒険家、プロレスラー、総合格闘家など、どれもトラブルなどで長続きしない北尾さんを、精神科医となった淑恵さんが支え続けた。
北尾さんは03年に立浪部屋と和解し、相談役に就任。16年ぶりに角界に復帰し、再出発に意気込んでいたが、その思いを阻むように病魔に襲われる。
日曜大工中に傷つけた右足が化膿して腐敗。長年の暴飲暴食の影響で重度の糖尿病を患っており、腐敗が進んだ。医師からは両脚切断するよう言われたが、淑恵さんは「横綱になった足」とこれを拒否。医師の仕事を辞め、一人娘とともに介護に徹する。体重140キロの北尾さんを女性が介護するのは大変で、淑恵さんも椎間板ヘルニアを発症。芸能界にあこがれる長女は専門学校への進学をあきらめた。
北尾さんも「俺生きていていいのか」と口にするようになり、自殺未遂も起こしたという。やがて腎臓機能が低下し、2月に永眠した。
死を覚悟してからの北尾さんは「今のうちに俺を撮っておけよ」とビデオに残すことにこだわったという。番組では実際の動画も放送。北尾さんは寝たきりになってから淑恵さんに「愛しているよ」と感謝の言葉を繰り返すようになった。視力を失い、記憶もなくした死去する10日前の最後の映像でも、淑恵さんの「愛してる?」と呼びかけに、「うん」と反応した。