橋本大輝 わずか0・017点差で銀 あん馬で落下 鉄棒で完璧演技も内村超え夢散

 男子個人総合決勝の演技終了後、握手を交わす橋本大輝(左)と中国の張博恒(代表撮影)
 男子個人総合決勝で張博恒(左下)に敗れ、悔しそうな橋本
 男子個人総合決勝 あん馬で落下し、うずくまる
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 「体操・世界選手権」(22日、北九州市立総合体育館)

 男子個人総合決勝が行われ、東京五輪王者の橋本大輝(20)=順大=は6種目合計87・964点で2位に終わり、五輪に続く金メダルはならなかった。張博恒(21)=中国=が87・981点で優勝。その差はわずか0・017点差だった。橋本は09年ロンドン大会での内村航平(20歳9カ月)を上回る20歳2カ月での日本史上最年少優勝はならなかった。

 かつて内村航平が歩んできたような王道は、やはり簡単ではない。東京五輪に続く、世界大会V2を狙った橋本だったが、中国の同世代のライバル、張博恒にわずか0・017点差で敗れ、銀メダル。五輪、世界選手権で8連覇を成し遂げたキングの姿を思い「改めて航平さんの凄さを感じた」とうなずいた。

 死闘だった。2種目のあん馬でともに落下したが、6種目を通してマッチレースを繰り広げた。首位の張と2位の橋本が0・350点差で迎えた最終種目の鉄棒。五輪種目別金メダルの橋本に分があるかと思われたが、張が完璧な演技で14・800点をマーク。橋本も五輪を上回る15・133点で猛追したが、わずかに届かなかった。

 「あん馬の落下は集中力のなさ。ただ、つり輪からの4種目はベストの演技を出せた。悔しさは1ミリぐらい。彼(張)がリアルチャンピオンだった」-。

 言い訳はしなかった。東京五輪延期に伴い、異例の形での五輪、世界選手権の同年開催。橋本にとっては逆風だった。五輪後のイベントラッシュで疲労は困憊。6種目を通した練習ができなくなるほど、調整は難航した。国際大会の経験不足を理由に五輪落選した張は、万全の状態で今大会に照準を合わせてきた。ただ、橋本は「自分の調整力のなさ」と受け入れた。

 個人総合連勝は4でストップ。内村の前人未到の40連勝を超える「50連勝」を目標に掲げていたが、0からの出直しとなった。また、張という3年後の五輪連覇への難敵も誕生した。「来年から新しく頑張る理由が見つかった」。前を向く瞳に再び野心が宿る。敗北を抱きしめて、若武者は再び歩み始める。

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