宇良 5年ぶり金星 寄り切りで照ノ富士を初撃破「精いっぱい出し切ろうと」
「大相撲秋場所・6日目」(16日、両国国技館)
平幕宇良が横綱照ノ富士を寄り切り、5度目の挑戦で初めて勝利した。金星獲得は5年ぶり2個目で、波乱の土俵を盛り上げた。照ノ富士は3敗目。大関陣も正代は明生に屈して5連敗。貴景勝は玉鷲にはたき込まれて2敗目を喫し、御嶽海も琴ノ若にはたき込まれて3敗目。横綱大関陣は総崩れとなった。全勝は玉鷲と北勝富士の平幕2人、1敗も高安ら平幕3人となった。
大荒れの土俵を、宇良が締めくくった。過去4度、善戦しながら阻まれ続けた照ノ富士の壁をついに破った。館内を大きくわかせる会心の相撲。「うれしいです。力を精いっぱい出し切ろうと思って頑張りました」と肩で息をしながら喜んだ。
動き勝った。頭を下げて手を出しながら、中に入るチャンスを探った。捕まらないように距離を取って見合った次の瞬間、わずかな隙を見逃さずに突進。タックルのように横綱の左脇の下に頭をもぐらせ、一気の出足で寄り切った。
金星は2017年名古屋場所9日目の日馬富士戦以来5年ぶり2個目。初金星では支度部屋で涙したが、この日は感情をあふれさせることはなかった。その間、2度の膝の大ケガで序二段降下も経験。期待のホープは、どん底も知る30歳となった。「自分にとっては15日完走するのは当たり前じゃない」という体で「ここまできたら、やれるところまで年を重ねて長く続けたい」という目標を追う。
4日目には大技・伝え反りを披露。20年前に決めた元横綱朝青龍にはツイッターで「宇良関上手いよね。ケガしないように頼む」とサムアップ絵文字つきで称賛された。憧れの人からのエールには「見ていただいてうれしいですね」と喜んだ宇良。いつも口にする「元気な相撲」で、V戦線にも食らいつく。