琴桜-熱海富士戦で館内騒然の誤審珍事 決着前に審判が手を挙げ、異例のやり直し 勝負審判の朝日山親方謝罪「とっさに挙げちゃった。申し訳ない」
「大相撲初場所・6日目」(17日、両国国技館)
今場所での綱とり絶望となった大関琴桜は熱海富士と対戦したが、決着前に審判が手を挙げてしまい、やり直しとなるハプニングがあった。やり直しの一番は熱海富士が制した。
がっちりまわしを持った熱海富士が力強く前に出て琴桜を土俵際へ。琴桜の足が土俵ギリギリにかかったところで、土俵下に座っていた勝負審判の朝日山親方が勝負があったと手を挙げて、軍配は熱海富士の勝ちとなった。しかし、その後、物言いがついて、審判団が協議。琴桜の足は外に出ておらず、高田川審判長は「勝負が付く前に審判が手を挙げたため、取り直しといたします」と説明がされ、館内は騒然となった。
やり直しの相撲では熱海富士がきめ出しで勝利し、意地をみせた。琴桜は痛恨の5連敗となった。
手を挙げた朝日山親方は「俺の中でついたと思い、とっさに挙げちゃった。本来なら勝負がついた後に挙げなきゃいけないのに。習慣で挙げちゃった。反応しちゃって申し訳ない。以後気をつけます」と謝罪。熱海富士は「勝ったからよかった。やり直しは審判の判断。なんとも言えない。集中を切らさないようにした。勝った嬉しさはあります」と、振り返った。
過去には12年11月九州場所で横綱日馬富士-関脇豪栄道戦で日馬富士の足が土俵外に出たとして審判が取り組みを止めさせたが、勝負はついておらず。やり直しの末、日馬富士が勝利した例があった。
◆取り直しとやり直し 一度勝負がつきながら物言いがつき、胴体とみなされた場合は「取り直し」となる。この日の一番は勝負がつく前に取組を途中で止めたため「やり直し」という特異なケース。12年の事例では日本相撲協会広報部は「極めてまれ。少なくとも戦後では、同様の記録は残っていない」と説明していた。