パリ五輪48キロ級金・角田夏実 無差別級で2勝 90キロ&76キロ撃破「やっぱり柔道が好き」悔しくも充実

 「柔道・全日本女子選手権」(20日、横浜武道館)

 体重無差別で行われ、パリ五輪48キロ級金メダルの角田夏実(32)=SBC湘南美容クリニック=が3度目の出場で初の2勝を挙げ、2回戦ではともえ投げで初めてポイントを奪った。3回戦で敗れたものの、チケット完売の会場から大歓声を集めた。決勝は田中伶奈(25)=大阪府警=が白金未桜(19)=筑波大=に大外刈りで一本勝ちし、初優勝した。6月のブダペスト世界選手権78キロ超級代表の新井万央(日体大)は3回戦で敗退した。

 劣勢の残り5秒。角田は執念のともえ投げで、体重70キロの寺田宇多菜(JR東日本)の体を浮き上がらせた。「横に落としたりとか、うまい方法はあったのに、焦りがあって冷静な判断ができなかった」。ポイント、印象を覆すことはできず、旗判定で敗れた。

 ベスト16の3回戦で敗退も、満員の観客から拍手を送られ「五輪より緊張しているかも、という瞬間があった。やっぱり私って柔道が好きなんだ」と、悔しくも充実していた。

 見せ場は2回戦。76キロの橋高朱里(金沢学院短大教員)に2分半過ぎ、ともえ投げで有効を奪取。出場3回目で初の技によるポイント。当初は技ありだったが「やっぱり取り消された」と笑った。1回戦は90キロの鋳山真菜実(生光学園高)をともえ投げで攻めまくり、旗判定で突破した。

 世界選手権を辞退し、体重53キロで調整。左手を痛めるアクシデントもあった。初戦を終え「海で遊んだ後のよう」という疲労に苦しみ、重量級対策で用意したともえ投げ、関節技は不発だった。

 それでも「柔道を追い込んでいるときが一番充実している」と実感した。32歳の五輪女王は「引退したら味わえないと思うと寂しい。今、辞めますと言うより、自問自答しながら考えたい」と語った。

 ◆角田夏実(つのだ・なつみ)1992年8月6日、千葉県出身。8歳から柔道を始め、八千代高2年時に全国高校総体3位。東京学芸大3年時の全日本学生大会で優勝した。52キロ級時代は16年講道館杯で初優勝し、初出場の17年世界選手権で銀メダル。19年に48キロ級に転向し、21年から世界選手権3連覇。31歳11カ月で臨んだパリ五輪で、日本女子最年長となる金メダルを獲得した。左組みで得意技はともえ投げ、腕ひしぎ十字固め。162センチ。

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