涙の大逆転V直後 山本有真を祝福した田中希実 感動を呼んだワンシーン 昨年の東京世界陸上で山本が「ここにいるのは田中さんのおかげ」
「陸上・日本選手権」(12日、パロマ瑞穂スタジアム)
女子5000メートル決勝が行われ、山本有真(26)=積水化学=が圧巻のラストスパートで先頭を走った田中希実をゴール直前で逆転。14分59秒89で初優勝を飾り、アジア大会代表にも内定した。
終盤、田中が独走態勢に入り勝負は決まったかに思われた。だが山本は諦めなかった。「ラスト100で先頭の背中が見えていってみるかと」。驚異のスパートでみるみる差を縮め、女王をゴール直前でかわした。
その後、各選手が祝福に駆けつけ、田中も山本のもとへ歩み寄った。そしてがっちり手を合わせて健闘をたたえ合い、優勝を祝福。トラックには感動的な光景が広がった。
昨年の東京世界陸上、山本は予選で18位に終わったが、スタートから果敢に前へ。よどみないペースを作り、海外勢が得意とするラストスパート勝負に持ち込ませず、田中の決勝進出をアシストした。
山本はレース後、前日夜との田中との会話を明かし「『私に何かできることはない?』と聞いて、1周72秒で6周半おすことになった。自分のためにもなるし、田中さんのためにもなる」。2年半ぶりの自己ベストを出した金栗杯では田中がペースメーカーを務めており、「私がここにいるのは田中さんのおかげ。恩返しがしたかった」と、明かしていた。
そして今大会、15分を切ってのフィニッシュ。山本は涙を浮かべながら「まさか14分が出るとは。優勝も目指していたが信じられない」と声を震わせ、「後ろから追いつかれないようにと思って。地元の声援に背中を押された」と振り返った。アジア大会の代表にも内定し「ここで優勝することができて、堂々と走れるなという清清しい気持ちがあります」と話していた。
