柔道 鈴木桂治監督 有効基準に疑問と指摘「柔道魅力的とは相反している」「なぜ負けたか分からない」各国からも同意見
柔道日本代表の鈴木桂治男子監督が13日、有効が復活した新ルールの判定傾向に疑問を投げかけた。
「柔道を魅力的なものにするという言葉とは、ちょっと相反していると感じてしまうような内容が多くあった」
国際柔道連盟(IJF)は2017年に廃止されていた有効を、25年から復活。試合時間の短縮や、指導ではなく技による決着を主な狙いとし、28年ロサンゼルス五輪に向けてルールを改正した。適応されて2年が経過し、今年に入って再更新。有効の範囲がさらに広くなり、今回の世界選手権は微妙な判定が多かった。
顕著だったのは、新井道大(東海大)と、イリア・スラマニゼ(ジョージア)が対戦した男子100キロ級決勝。新井が技をかけて両者倒れ込んだ場面で、新井の技が効果的に見えたが、スラマニゼの大内返しとして有効だった。スロー映像ではスラマニゼの右肩が先に畳に付き、次に新井が左手、胸の順番でうつぶせに落ちているように見えた。しかしポイントはスラマニゼで、新井は2大会連続の銀メダル。勝利を確信してガッツポーズしていただけに、判定を聞いた後は、両手を広げて困惑した表情を浮かべていた。
鈴木監督は「われわれから見たら、何で負けたのかが分からない。(判定の説明は)コマ送りにしてピタッと止めて『ほら』という感じ。新井道大が負けた後に、いろんな(国の)監督が僕のところにきて『判定を含めて、こんな試合内容でハッピーなのか』と多く声をかけられた」と明かした。各国、今回の有効の判定範囲には疑問を持っているようで、「みんなで声を上げていくしかない、とみんな言われていた。大会のアンケートがあるので、現場の意見として出していけたら」と話した。
24年パリ五輪でも疑惑の判定が話題になることがあった。このままいけば、28年ロサンゼルス五輪でも、有効を巡る疑問の残る判定が起こる可能性はある。鈴木監督は「技をかけて効果的かどうかを見ることが妥当な判定だと思う。転んでも滑っても有効は、柔道とは違った勝敗の決まり方をしてしまう。『指導で勝敗が決するのはつまらない』というのは、言っていることは分かる。だからといって、取り入れた有効の範囲が非常に広すぎるのと、果たしてこれが正解なのかと非常に疑問に残る場面も多々あった」と言及した。
柔道の日本代表選手団はこの日、世界選手権を終えてバクーから成田空港に帰国した。メダルは男子が3つの金を含む7個、女子は4つの金を含む5個、混合団体では2大会ぶりの王座を奪還した。
