小林亜星さん「寺内貫太郎」は「昭和という凄い時代を生きた日本人の心の記憶」

 「北の宿から」などを手掛けた作曲家で、ドラマ「寺内貫太郎一家」の主演でも知られる小林亜星(こばやし・あせい)さんが、5月30日に心不全のため亡くなっていたことが14日、分かった。88歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で執り行った。 

 小林亜星さんの個性が遺憾なく発揮されたのが、向田邦子さん脚本、久世光彦さん制作・演出の名作ホームドラマ「寺内貫太郎一家」(74年)と同「2」(75年)だ。東京の下町・谷中で老舗石屋を営む頑固おやじの貫太郎(亜星さん)が家族や近所の人々と騒動を繰り広げる人情喜劇で、平均視聴率31・3%と大ヒットした。

 巨体の貫太郎と息子・周平(西城秀樹さん)の取っ組み合いや、貫太郎の母きん(悠木千帆=樹木希林さん)が当時人気絶頂の沢田研二のポスターに「ジュリ~!」と絶叫するシーン、西城さんとお手伝いのミヨコ(浅田美代子)が屋根の上で「しあわせの一番星」を歌うシーンなどがよく知られている。

 75年4月3日には、小林さんに投げられるシーンで西城さんが負傷、救急搬送され、左肘脱臼で全治3週間と診断された。デイリースポーツではスタッフが「いつもこういったシーンを撮っているので、特に強いアクションでもなかった」と証言している。西城さんは同5月、同様のシーンで右腕を骨折した。

 亜星さんは2016年のDVD再発にあたり「二度と帰らない昭和という凄い時代を一途に生きた、日本人の心の記録が、ここにある。今の世の中では時に愛が暴力に至るこの物語は、放映不可能であろう」と本作について語り、「あの頃、久世光彦も僕たちも何故かみんな不幸だった。不幸だったからこそ、幸せとは何かが、誰よりも解っていたと思う」と振り返っている。

 06年のDVD発売記念イベントでは小林さん、妻・里子役の加藤治子さん、樹木さん、西城さん、浅田が集合。小林さんは「みんなよく生きてたな」と再会を喜んだが、それから15年、浅田の他は幽明境を異にした。

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