岩下志麻 映画デビュー作から吉右衛門さんと共演 尽きぬ思い出「本当に悔しい」

 歌舞伎俳優で人間国宝の中村吉右衛門(なかむら・きちえもん)さんが11月28日午後6時43分、心不全のため都内の病院で死去したことが1日、分かった。映画「笛吹川」、「心中天網島」とテレビ時代劇「鬼平犯科帳」で3度、共演した女優の岩下志麻(80)が同日、吉右衛門さんを追悼。歌舞伎界、「鬼平」チームからも悲しみの声が寄せられた。

 岩下は映画デビュー作となった「笛吹川」(1960年)、キネマ旬報ベストワンに選ばれた映画「心中天網島」(69年)で吉右衛門さんと共演し、「鬼平犯科帳」にも95年にゲスト出演しており、「節目節目でやらせていただいた。素晴らしい役者さんでした」と振り返った。

 「笛吹川」では「まだ(お互いに)10代で、私がすごく幼くて、ホームシックにかかっちゃって。いつも染五郎さん(現松本白鴎)と萬之助さん(吉右衛門さん)と、毎晩のように部屋に行ってトランプをして慰めてもらった記憶があります」という。

 岩下の夫・篠田正浩監督にとっても、岩下にとっても、吉右衛門さんにとっても代表作の一つとなった「心中天網島」では、吉右衛門さんが紙屋治兵衛役を、岩下が妻おさん、治兵衛と心中する遊女小春の二役を演じた。

 「素晴らしい口跡と素晴らしい演技で見ほれてしまって。小さい時から培われたしぐさ、立ち姿、本当に私ももう少し見習いたいと思いました」と、吉右衛門さんにホレボレ。ラブシーンの前には吉右衛門さんが「旦那さんが監督でやりにくいな」とぼやき、岩下が「気にしない気にしない!」と応じてラブシーンに入ったという。

 その後も吉右衛門さんの舞台にたびたび足を運び、鬼平のオファーがあった時には「マネジャーに即返事して、やらせていただいた」と即答。久々の再会では「わー、しばらく!」と「人目もはばからず抱き合っちゃいました」。撮影の合間には「ずいぶん昔話をされたりして。お話しするととても楽しい人で、色んな話をしました」と、旧交を温めた。久々に共演した吉右衛門さんは「とにかく風格はあるし、品はあるし、格調は高いし、本当に素晴らしい役者さん」になっていた。

 岩下は「もっともっと生きて、もっともっと素晴らしい舞台を見せてほしかった。もったいないし、本当に悔しいし」と、今後も円熟の舞台をみせられるはずだった吉右衛門さんを惜しんでいた。

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