低予算映画がこの広がり「ドライブ・マイ・カー」山本晃久プロデューサー 波及効果期待

 映画の一場面(C)2021「ドライブ・マイ・カー」製作委員会
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 山本晃久プロデューサー
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 映画界最大の祭典である米国の「第94回アカデミー賞」授賞式が、28日(現地時間27日)に行われる。邦画初となる作品賞と脚色賞に加え、監督賞、国際映画賞の4部門でノミネートされた濱口竜介監督(43)の「ドライブ・マイ・カー」は、栄冠をつかめるか。濱口監督に村上春樹原作を薦めるなど、共に歩んできた山本晃久プロデューサーに、現地入りしての感触や、作品や濱口監督への思いを聞いた。

  ◇  ◇

 山本氏は一足早く米国入りし、意見交換を行っている。監督の前作「寝ても覚めても」、脚本作品「スパイの妻 劇場版」からプロデューサーを務め、アカデミー賞までアクセル全開で駆け上がった現状に「予想もしていなかったので、今はこの僥倖(ぎょうこう)をできる限りかみしめたいという気持ち」と率直に述べた。

 映画を愛するアジアと前作から評価された欧州では迎えてもらえる感触はあったが、「北米にまで及ぶとは予想していませんでした」と驚き、現地でのやり取りを通じて、充実感も漂わせた。

 「本当にたくさんのハリウッドの映画人が本作を見てくださっていることを、直接感想を言われることで知ることができました。その全てが好意的なもので、大変ありがたく思っています。ある人が『ハリウッド映画にはない静かな心のぶつかり合いがとても新しく、そして美しいと感じた』と言っていたのが印象的でした」

 世界的な評価については「村上春樹さんの原作がベースにあることは間違いありません。多言語、多様性という点ももちろんあると思います」と読む。しかし、脚本制作段階では「濱口さんの発案にただただ、今語られるべきものとして感じ入っていたのみであり、賞レースという意味ではその戦略性は皆無でした」と明かした。

 濱口監督の姿勢には「映画と人に対して真摯(しんし)。さまざまな物事に対して公正であること以上に、誠実であるということが一番すごいと思うことです」と、感銘を受けている。プロデューサーとしてこだわった点は「家福(西島)の心の動きがわかりやすく観客に伝わるように脚本が作られること」だったという。

 国際長編映画賞を獲得すれば、2009年の「おくりびと」以来12年ぶり。他3部門を獲得すれば邦画初の偉業となる。山本氏は「メジャー映画ではない低予算映画が、このような広がりを見せることで、これを目撃した人たちが、より高みを目指してくれることを願っています」と、“ドライブ・マイ・カー現象”の波及効果を期待した。

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