庄野真代「自分の全てを見る時間」“周年コンサート”の意義 旧作が世界的に再評価中

 自然体な笑顔が印象的な庄野真代(撮影・堀内翔)
 ライブへの思いを語る庄野真代
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 「飛んでイスタンブール」「モンテカルロで乾杯」などのヒット曲で知られるシンガー・ソングライター、庄野真代(67)が、6月19日に東京・新宿のスペース・ゼロで毎年恒例のコンサート「Domestic Mayo Line 2022」を開催する。庄野の考え方を変えたという本コンサートについて、そして4月4日に公式サイトのブログで公表した悪性リンパ腫についてはメディアに初めて、率直な思いを語った。

 ◇  ◇

 「Domestic-」は2016年にスタートした、「1年に一度の、自分を振り返り、明日に向かうコンサート」だ。

 それまで毎年恒例といった性格の公演は行わず「やる意味も感じていなかった」が、「やり始めたらすごく大事なことだなって。毎年一つ目標にするものがある、毎年1回振り返ることができると。私も振り返るけど、お客さんにとっての振り返りにもなって、ものすごく意味がある」と考え方が変わった。

 “周年コンサート”にも「いつもちゃんと前を見て進んでいれば関係ない」と意義を見いだせなかったが、今は「突き進んでいるだけじゃダメで、時々ちゃんと止まって自分の全てを見る時間」の大切さを感じている。

 今回はオールタイムベストの選曲に加えてリクエストも募り、バンドセットで歌う。世界的なシティポップブームで庄野の旧作が再評価されており、終演後に出待ちしてアナログレコードにサインを求めるような、若いファンも増えたという。

 「20代の時に歌っていた曲を、改めて今聴いてもすごく鮮やかなので、過去のものとして閉じ込めておくんじゃなくて、時々こういうコンサートで日の当たるところに出してあげたいな」

 3月にはロシアのウクライナ侵攻を受けて、20年のアルバム「66」収録曲「平和のうた」をYouTubeにアップ。先月は講師を務める法政大人間環境学部の新学期も始まった。昨年デビュー45周年を迎えたレジェンドは、今もアクティブに歩み続けている。

 悪性リンパ腫が見つかったのは昨年4月。横隔膜の下に三つ、上に一つ大きな塊があり、「濾胞性リンパ腫」でステージ4と診断され、同8月に抗がん剤治療を始めた。

 最初の月は入院、翌9月から今年1月までは通院。コンサートは1回キャンセルしただけで、抗がん剤治療中も予定通り行った。

 「治療後は本当に嫌だって思うけれども、元気になってくると何でもなかったかのように…性格ですかね。不思議にスケジュールがすごく詰まっている時は元気。何にもない時はずっと熱が引かなかったりとか。目標があると調整ってできるもんだなあ、私の体は私のスケジュールを知っているって、不思議な感覚で半年間過ごしました」と振り返った。

 四つの塊は消え、担当医からは今後2年間、抗がん剤治療を続けると言われている。庄野は長期的にがんと付き合う考えで「にっくき敵ではなくていとしい私の細胞。今ちょっとグレちゃったんで正しい方向に導く親心みたいな感じ」と前向きな心境を明かした。

 ◆庄野真代(しょうの・まよ)1954年12月23日生まれ、大阪出身。76年、フォーク音楽祭をきっかけにアルバム「あとりえ」でデビュー。78年、筒美京平氏作曲の「飛んでイスタンブール」「モンテカルロで乾杯」などが大ヒットし、紅白出場。最新アルバムは「66」(2020年)。法政大学人間環境学部講師。NPO法人「国境なき楽団」設立(18年解散)、子ども食堂「しもきたキッチン」主宰、コミュニティカフェ「音倉」開設など活動は幅広い。

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