いしだあゆみさん死去 76歳 「ブルー・ライト・ヨコハマ」大ヒット 「北の国から」など国民的ドラマで活躍

 「ブルー・ライト・ヨコハマ」などのヒット曲で知られる歌手、女優のいしだあゆみ(本名石田良子=いしだ・よしこ)さんが、11日午前4時48分、甲状腺機能低下症のため東京都の病院で死去したことが17日、所属事務所から発表された。76歳。大阪府出身。葬儀は近親者で行った。お別れの会を開く予定はないという。TBS系「金曜日の妻たちへ」やフジテレビ系「北の国から」など、国民的ドラマにも多く出演した名優が、静かに人生の幕を閉じた。

 昭和を代表する歌姫にして、存在感のある女優としてお茶の間を魅了してきたいしださんが、天国へ旅立った。

 所属事務所の発表によると、いしださんは11日早朝に甲状腺機能低下症により、都内の病院で死去したという。昨年公開された柳葉敏郎主演の映画「室井慎次 生き続ける者」が生前最後の作品になった。

 いしださんは中学生の時に上京し、作曲家のいずみたく氏に師事。1968年に発表した筒美京平さん作曲、橋本淳さん作詞の「ブルー・ライト・ヨコハマ」がミリオンセラーに。鼻にかかったような声と、抑揚を抑えた歌い方で人気を集め、NHK紅白歌合戦にも出場した。橋本さんは「まだ若かったいしださんはどうやって歌えばいいかずいぶん悩んだようだが、温かい人柄が声に表れていた」と悼んだ。

 活動は俳優業にも及んでいき、幅広い役柄を演じた。映画「駅 STATION」では高倉健さんとの夫婦役、「火宅の人」では無頼の作家檀一雄の妻役で日本アカデミー賞の主演女優賞を受賞。テレビドラマでは、新興住宅地を舞台に団塊世代の不倫を描いた出演作「金曜日の妻たちへ」が社会現象となった。「北の国から」では田中邦衛さん演じる黒板五郎の妻役で存在感を示した。

 私生活では1980年に俳優・萩原健一さんと事実婚状態となったが、84年3月に別離。当時、フジテレビで行われた会見では「彼の妻としては良妻でも悪妻でもなく、愚妻でした」と涙ながらに語っていた。

 きゃしゃな体が印象的だったが、健康そのものな生活を送っていた。デイリースポーツのインタビューでは「仕事のストレスって一度も味わったことない」と言い切り「お酒飲めないから、暴飲暴食もしないし、寝るのも早い」と生活の一端を明かしていた。

 21年に旭日小綬章が贈られた際には「これからも一作一作丁寧に心を込めてお仕事に取り組みたい」と抱負をつづっていたいしださん。まだ76歳。早すぎる旅立ちとなってしまった。

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