日本映画黄金時代のレジェンド 88歳、往年のスター女優が登場「俳優に引退はない。元気なうちはいつまでも挑戦できる」
日本映画の全盛期に東映のスター女優として活躍した中原ひとみ(88)が8日、東京・丸の内TOEIで、主演映画「純愛物語」(1957年)の上映に合わせて舞台あいさつを行った。
原爆投下から3日後の広島で被ばくした少女(中原)の悲恋を「青い山脈」、「また逢う日まで」などの巨匠・今井正監督が描いた名作で、1958年のベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)に選ばれている。
中原は本作で恋人役だった江原真二郎さんと1960年に結婚。江原さんが死去した2022年まで添い遂げており、「主人は難病(進行性核上性まひ)で亡くなりましたが、元気でいれば今日も一緒に皆さまにお会いできたのに、残念だなあと思っています」と寂しがった。
現在は日本健康麻将(マージャン)協会の健康麻将大使として健康マージャンの普及に尽力。88歳になったが俳優も引退はしておらず、「俳優というのは引退ということは私はないと思っている。時代時代でできる役が絶対にあると思っているので、90歳になったら90歳なりの役が、元気なうちはいつまでも挑戦できると思っています。いつお声をかけていただいても大丈夫なように自分を磨くことだけを俳優としてやろうと決め、ずーっとそういうふうに思って頑張っています」とアピールした。
また、本作では広島で被ばくしたヒロインを演じており、「若い女優たちは原子力発電所ができると花束贈呈という仕事があったのですが、私は原爆反対だったので、その仕事は絶対にしませんでした。ほんのちょっとの抵抗なんですけど、そうやって生きて来ました。なるべく原発に頼らないような時代が来るといいなあと、そんな感じがしてなりません。ささやかな声でもいいから、いつまでも発していきたいと思います」と述べ、硬派な顔も見せていた。
7月27日で閉館する丸の内TOEIでは、5月8日まで昭和の名作・ヒット作42本を映画会社の枠を越えて上映する「昭和100年映画祭 あの感動をもう一度」を開催しており、その一環として今回の上映と舞台あいさつが行われた。
