【大橋未歩アナ】病床で考えたこと 人は人を支え、支えられている

 「大橋未歩のたまたまオリパラ!」

 パラリンピック開幕3日前にコロナになってしまった。21日土曜夜に陽性が確認。夜は熱が38度後半に達する。日曜に保健所から連絡がありホテル療養希望を伝えると、月曜には東京都から連絡があり、火曜にはもうホテルに移ることができていた。保健所と東京都の迅速な連携に驚く。ホテル療養で食べるお弁当に関しては「文化的宗教的に食べられないものはないですか?」との質問。現場は大混乱なのではと危惧していたが、患者への行き届いた配慮に感謝の念が湧き上がる。

 入所すると1人に1つパルスオキシメーターが配布され、ホテルの館内放送で、1日2回の検温と酸素飽和度チェックの時間を知らせてくれる。24時間常駐の看護師が内線で毎日問診してくれた。大きな安心感と、未知の感染症への不安感の中、パラリンピックは開幕した。

 予定していたパラリンピック関連イベントにも出られず申し訳ない気持ちで胸が締め付けられるが、楽しみにしていた競技の一つであるブラインドサッカーでは、パラリンピック初出場の日本が初戦でロンドン大会銀メダルのフランスに4-0と快勝した。

 日本でブラインドサッカーといえば、国際大会を有料化しスタジアムを満員にしたパラスポーツ界のお手本だ。しかし意外にも、改革を推し進める日本ブラインドサッカー協会専務理事兼事務局長の松崎英吾さんは、大学時代、身近に障がい者はいたが一言も口を聞いたことがなかったという。

 自分とは別の人生を歩んでいる人だと思っていた。その思いが変わったのが、ブラインドサッカーを体験した時だ。アイマスクをつけながらパス交換をした時に、闇の中でお互いがお互いの声を頼りにしていることに気づく。健常者が障がい者を支えるという一方的な関係ではなく、相互に頼っていた。この理屈を超えた身体的な理解に松崎さんは感動した。

 ベッドの上で改めて思う。いつだって誰だって障がいの有無にかかわらず人生はきっと未知の体験に満ちている。何かに直面した時、人は人を支えるし、また支えられている。そんなことをめいっぱいに感じた2021年の夏だった。

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