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弘兼憲史氏 「生きている限り性があり恋がある」…島耕作著者が語る「老いじたく」

 長くファンに読み継がれている漫画「島耕作シリーズ」は現在、「相談役島耕作」として漫画誌「モーニング」に連載されている。作者は弘兼憲史氏(72)。かつて松下電器(現パナソニック、本社大阪府門真市)に3年半勤め、漫画家に転身した。弘兼氏がオヤジ世代に向けたエッセー「俺たちの老いじたく 50代で始めて70代でわかったこと」(祥伝社 1300円税別)を新装復刊した。「生きている限り性があり恋がある」など老いを生きるヒントが随所に光る。著者の「老いじたく」を尋ねた。

 ◇◇ ◇◇ ◇◇

 -新装復刊した著書「俺たちの老いじたく」に、「生きている限り性があり恋がある」と。ドラマにもなった漫画「黄昏流星群」は中高年のラブストーリー。泣けます。

 自分の作品を見てこのあいだ泣いたんです。なんだったかな…(『黄昏流星群』の単行本54巻をめくる)。ラブドールっていうかダッチワイフに恋をするという物語で、これです。「星田一夫さんの幸福」。再読したときに、どういう話だったかと思いながら見てたら最後は泣けましてね。マスターベーションですね、究極の。これは泣けます。

 -自作で泣くことはたまに。

 わりとけっこう泣きます。人を泣かせようとして一生懸命考えて描いてまして、ついそのまま読みいっちゃうんです。そしたらなんか泣けるんですよね。こりゃ、かわいそうだなと。こんなかわいそうなことよく考えたなと我ながら思います。

▼不倫はダメ

 -なぜ中高年のラブストーリーを描こうと。

 「黄昏流星群」は私が50歳手前くらいから始めました。仲間と飲んでいて「何かやり残したことはないか」と話していたんです。そしたら「もう一回、恋がしたい」って声がありましてね。実際は50歳で新しい恋なんて無理だよねってことになると、じゃあバーチャルの世界で漫画でならできるだろうと。それで中高年のラブストーリーという今までにないジャンルでやったんです。これは年をとっても続けられて、今は60歳とか70歳の人が中心になったストーリーになってます。

 -先生はご結婚されてますが恋心は。

 恋心ってのはたぶん皆、幾つになっても感じるんじゃないですか。結婚して夫がいる、妻がいるという理由で誰かに恋心を抱いちゃいけないって思う人は中にはいるかもしれないけど不自然ですよね。普通だったら「あの人、すてき」だとか思いますよ。それを実行に移さなければいい。恋をするとか恋心を持つのは何の罪もないと思います。例えば芸能人のファンになるということもある意味、恋です。そういうのはOKだと思います。実行に移して不倫関係になってどろどろになったらダメだと思います。それを肯定することはありません。

 -作品で「情緒」が大切だと。

 ドキドキ感みたいなもんですね。ドキドキ感がなくなると、人間、つやがなくなるというか潤いがなくなるというか。すごくイケメンとか美女であってもセックスアピールが全然ない人ってたまにいるんですよね。そういう人はおそらく、異性に興味がないからなんです。興味ある対象が何か別のものになっている。だからセックスアピールがある人は男女とも、異性に関心があるんだろうなと思います。

 -先生もつやがある。そういう意味ではドキドキする女性は。

 いっぱいいますね。最近はブルゾンちえみさんです。はっはははは。

 -ブルゾンさんは作品に出てきますね。

 ええ、好きなんですあの人。あと、最近ドキドキするのは近代五種の選手で才藤歩夢さんです。なかなかのもんですよ。こりゃあ美人だなって感じの人です。(スマホで音声検索をする)。この方ですね。

 -ああ、きれい。

 近代五種の選手です。そんじゃそこらのタレントさんよりかわいいでしょ。

 -メークもさほどしてそうにないですね。

 してないですね。メークしてる人も好きですよ、ブルゾンさん。あれほどがっちりメークしてる人もなかなかいないです。

 -ブルゾンさんのどういうところにドキドキを。

 あの人は会って話してると性格とか人となりがすごくいいんです。大勢でご飯を食べたこともあります。この年になると、一緒にいて面白いか楽しいかってことが大切ですね。ブルゾンさんは周りに気を使いますし、頭もいい。ツボにはまりました。この子はいい子だと。

▼イカめし体形

 -食事の話が出ましたが先生はワインもお好き。飲食が過ぎるとおなかが出てきますが、「老いじたく」に「みっともない腹になるのはやめましょう」とあります。

 ああ、それ。書いた頃はおなか出てなかったんです(笑)。今はね、イカめしみたいな形になっちゃって(おなかをなでて爆笑)。50代のころはおなかが出たりすると食事を減らすとかしてました。でも、この年になると、我慢してなんになると、楽しくねえだろうと、だったら太ってもいいから楽しいことしようと思ってイカめしみたいな体形になりました。

 -70歳になって太ってもいいやと。

 本当は痩せたいと思うんですけど、お酒をやめなきゃいけないと考えると、それはもうやめないよねって感じになります。そこまで我慢してつらい人生を送ることもないだろうと。

 -「老いじたく」にあるように楽しく生きるためには。

 そうそう。医学的にこれ以上太ったら糖尿病になるとか言われるともちろん節制します。そうでない限り、見た目くらいならいいやと思っています。

〈WHO’WHO〉

 弘兼憲史(ひろかね・けんし)漫画家 1947年山口県出身。早稲田大学法学部卒業後、松下電器産業(現パナソニック)に勤務。約3年半勤めて退職。74年「風薫る」で漫画家デビュー。84年「人間交差点」で小学館漫画賞を受賞。91年「課長 島耕作」で講談社漫画賞を受賞。00年「黄昏流星群」で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。03年日本漫画協会賞大賞受賞。07年、紫綬褒章受章。著著多数。大のワイン好き。

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