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阪本順治監督 撮影中は柿ピーと魚肉ソーセージ…現場ではあまり食事とらず30年

 阪本順治監督(61)の新作「一度も撃ってません」がようやく公開となった。新型コロナウイルス感染拡大防止のために延期になっていた。主演は石橋蓮司(78)。ハードボイルドでありながらコメディーという難役を演じた。阪本監督は撮影時に常に自身に「何かを課す」と著書で明かしている。今作で課したこと、阪本作品で常に重要な役を担う石橋の魅力を聞いた。 

 

 -今作は石橋蓮司さんにとって18年ぶりの映画主演。監督は多くの作品で石橋さんを起用しています。石橋さんの魅力とは。

 蓮司さんは自分では「おれはシティボーイだから」って言われるんです(笑)。昭和の人間だからとも言われるんですけど少数派ですよね。若かりしころに、学生運動を含めて世の中がざわついていたころから俳優をされているわけです。その当時に自分なりにある種の社会との向き合い方とかを身につけた。そういうことがあの世代の人たちの栄養になっているんです。それが俳優という仕事のなかで自然と出てくるんです。そこが僕らでは学習しても出てこない匂いなんです。原田芳雄さんもそうですけど、役者という職業においてどうやって遊ぶのかということを常に考えている人なんですね。遊ぶというのは、ふざけるということじゃなくて。その遊びようが面白いんです。うまく言えないんですけど…(7、8秒考え)どう言えばいいのかな。賢いんですよ。

 -賢いというと。

 言葉の持ちようというか、いろんな時代を過ごしてきて、そのことによって覚える感情というのも大事にされている。俳優という職業ってとても素敵だなと思うんです。というのは、いつも他者を考えるわけですよね。自分じゃない誰かのことをずっと考えるでしょ。他者を考えるときに他者がどういう生き方をしてきて、どういう時代をどのように考えて過ごしてきたとか、そういうことを常々念頭に置きながら演じているわけですよね。そうすることで、たくさんの言葉を持つようになり、それが非常に人を引きつける魅力なんですよね、僕にとっては。

 -今作では佐藤浩市さん、息子の寛一郎さんがセリフを交わしあって共演しています。三國連太郎さんから親子三代演出されて3人に似ていると思ったことは。

 似てる?三国さんと浩市と寛一郎?いやー、似てる…背中だったりするんだけど…うーん…。たぶん浩市は役に対してのアプローチみたいなことは三国さんをある程度反面教師にしたところはあるし。で、寛一郎は浩市を反面教師にした部分はあるし。その血として…DNAのなかにすり込まれたものもあるなと思いますね。三国さんはなんというか、役を作るために役を壊さなければいけないみたいなところもあったんです。僕の映画ではそういうことはされてませんけども過去の映画とか見るとね。あとは…脚本についての考え方で、役について念入りに書いた方が喜ぶ俳優もいれば、あまり書いてない方を喜びとする俳優もいるんです。

 -ベテランになるほど後者になるとか。

 それは俳優としての仕事への考え方ですね。何も書いてないから物足りないということじゃなく、何も書いてないからおれの仕事があると。三国さんもたぶんそうだったと思う。アドリブをかますっていう意味じゃなくてね。自分なりの解釈とか、自分なりのパフォーマンスとか、動きとかリズムとか、そういうヒントは自分が見つけるものだと。三国さんも浩市もそう思って、寛一郎はそれを見てきている。これから同じような向き合い方をしていくんじゃないかなと思います。

 -著書「孤立、無縁」(ぴあ)にこのような記述があります。映画を撮るときは「何かを自分に課す」「監督しての決めごとをつくる」と。

 うん。

 -今回はどのような決めごとを。デビュー作「どついたるねん」(89年)では赤井英和さんと一緒に減量したとあります。

 現場中、ご飯を食べないのは30年ずっとそうなんですけど。それ以外…。

 -ご飯を食べないとは、どの程度に食べない。

 普段から朝、昼は食べないです。最近は現場では夜は柿ピーと魚肉ソーセージ1本とかそんな感じです。

 -柿ピーとソーセージ。撮影の間ずっと?

 そうですね。「エルネスト」(17年)をキューバで撮った時には帰国したら14キロほど体重が減ってました。別にストイックになってる姿を見せたいわけじゃないんですけど。「どついたるねん」のときに赤井と減量しまして、おなかは減るんだけど内臓が休んでいるわけですよね。だからなんとなく健康になってる感じはするんですよ。食を抜くことで。

 -ちょっとした断食による効果のような。

 まあ、インド式ではないんですけど。食を減らすことで血の巡りが脳に行き渡るっていうのもあるし、食を抜くことで「頑張ってるやん、おれ」っていう実感を得たいというかね。

 -今回の撮影では何キロくらい体重が減った。

 5キロくらいです。撮影は2週間だったんで、そんなにはね。柿ピーだけでもそれほど体重は減らないですよ(笑)。

〈WHO’S WHO〉

 阪本順治(さかもと・じゅんじ) 1958年、大阪府出身。横浜国立大学在学中より石井聰亙(現・岳龍)、井筒和幸、川島透監督の現場に参加。89年、赤井英和主演の「どついたるねん」で監督デビュー。芸術推奨文部大臣新人賞など受賞。00年、藤山直美主演「顔」で日本アカデミー賞優秀監督賞など受賞。他の作品に「大鹿村騒動記」、「半世界」など。阪神ファン。酒豪で愛煙家。

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